2021年のクラリベイト
「引用栄誉賞」受賞者を発表

ノーベル賞クラスの研究者リストに日本人3名が新たに名を連ねる

クラリベイトは、2021年の引用栄誉賞受賞者を発表しました。フランス、イタリア、日本、韓国、シンガポール、米国の6カ国の機関から16名の引用栄誉賞受賞者が新たに加わりました。これまで、引用栄誉賞受賞者の59名がノーベル賞を受賞しています。

 

2021年9月22日、ロンドン(英)
クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社

 

イノベーションを加速する信頼性の高い知見や分析を提供する世界的リーディングカンパニーのClarivate plc(NYSE:CLVT)は、本日、6カ国16名の世界的な研究者をCitation Laureates™(引用栄誉賞)に選出しました。この受賞者は、Institute for Scientific Information (ISI)™の分析により、「ノーベル賞クラス」の研究成果と認められた研究者です。

2002年以来、ISIのアナリストは、Web of Science™の引用データを用いて、ノーベル賞と同じ研究分野(医学・生理学、物理学、化学、経済学)において影響力のある研究者を毎年特定しています。1970年以降、Web of Scienceに掲載された約5,200万件の論文や会議録等のうち、2,000回以上引用されているのはわずか6,500件(0.01%)に過ぎません。このような稀有な論文の著者の中から引用栄誉賞受賞者が選ばれます。引用栄誉賞受賞者の研究論文は頻繁に引用され、科学に極めて大きく貢献をしており、時には社会に変革をもたらします。

2021年10月初旬、学術界最高の栄誉であるノーベル賞の発表が行われます。この年に一度の発表は、世界的に様々な憶測を呼びますが、クラリベイトは、定性的な評価に加えて定量的なデータを用いて、誰が選ばれるかについての貴重なインサイトを提供する唯一の組織です。これまでに、「Hall of Citation Laureates」に掲載されている受賞者のうち59名がノーベル賞を受賞しています。

クラリベイトのSVP Strategy, ScienceのJoel Haspelは次のように述べています。「今年の引用栄誉賞受賞者は、現代における最も重要な研究の先駆者であり、フリーラジカル、ウイルスの同定、金融危機など、さまざまなテーマについて我々の理解を深めてきました。彼らの基礎的な研究があったからこそ、医薬品開発、経済理論、起業家精神などでのイノベーションが継続的に発展することができたのです。私たちは、彼らの多大な功績を称え、その引用記録が、研究者や研究分野、そして社会全体への影響を反映していることを示すことができ、大変嬉しく思います。」

Joel Mokyr(ノースウェスタン大学、Robert H. Strotz教養学教授、経済学・歴史学教授)は、今回の受賞について次のように述べています。「アダム・スミスの『道徳感情論』では、人が一生懸命働き、苦労を厭わない最大の理由は、自分と同じような人たちに尊敬されたいからだと述べています。クラリベイトが引用栄誉賞受賞者として認めてくれたことは、少なくとも誰かが私の仕事に注目してくれているということであり、それはとても良いことだと思っています。人には、自分と同じような人に認められたいという内的な欲求があります。そのため、同業者による評価は、今日の世界のあらゆる種類の科学の大きな推進力になっていると思いますし、科学のおかげで今の私たちがあるわけですから、これはとても幸せなことです。」

クラリベイトのInstitute for Scientific InformationのSenior Citation AnalystであるDavid Pendleburyは次のように述べています。「1つの論文が2,000回以上引用されることは稀有なことです。被引用数が非常に多い論文の著者は、通常、各国の科学アカデミーのメンバーであり、大学やその他の研究機関で上級職に就いていて、その分野で名だたる多くの国際的な賞を受賞しています。実際、彼らの多くは、それぞれの研究分野の形成に貢献しています。このような”科学界のエリート”の中には、ノーベル賞を受賞した人もおり、毎年、論文の引用、研究コミュニティでの影響力、研究者からの評価の関連性を実証しています」と述べています。
今年の受賞者16名のうち、9名は米国、3名は日本、その他フランス、イタリア、韓国、シンガポールの主要学術機関に所属しています。

2021年の受賞者と受賞理由は以下の通りです。

医学・生理学

「インターロイキン-6の発見とその生理的・病理的作用機序の解明により、医薬品の開発に貢献した功績」
岸本 忠三
大阪大学 免疫学フロンティア研究センター(大阪・日本)教授
平野 俊夫
量子科学技術研究開発機構(千葉・日本) 理事長、大阪大学(大阪・日本)名誉教授

「神経受容体の理解への貢献、特にニコチン性アセチルコリン受容体とそのアロステリックな特性の同定」
Jean-Pierre Changeux
コレージュ・ド・フランス&パスツール研究所(パリ・フランス) 名誉教授、カリフォルニア大学サンディエゴ校カブリ脳・心研究所(サンディエゴ・USA)インターナショナル・ファカルティ(2012-2022年度)

「腎症候性出血熱の原因であるハンタウイルスの同定および分離」
Karl M. Johnson
元米国疾病予防管理センター、ニューメキシコ大学(ニューメキシコ・USA)名誉教授
Ho Wang Lee
高麗大学(ソウル・韓国) 名誉教授、国立科学アカデミー(ソウル・韓国)元会長・会員

物理学

「多体系のトポロジー特性を利用して量子情報を符号化・保護するトポロジカル量子計算」
Alexei Y. Kitaev
カリフォルニア工科大学理論物理学・数学 Ronald and Maxine Linde教授、量子情報・物質研究所(カリフォルニア・USA)

「コミュニティ構造やランダムグラフモデルなど、ネットワークシステムに関する幅広い研究を行った功績」
Mark E. J. Newma
ミシガン大学物理学および複雑系研究センター(ミシガン・USA)物理学Anatol Rapoport特別教授

「量子色力学および複雑な無秩序系の研究における革新的な発見に対して」
Giorgio Parisi
ローマ・ラ・サピエンツァ大学(ローマ・イタリア)理論物理学名誉教授

化学

「金属触媒を用いたリビングラジカル重合の発見と開発」
澤本 光男
中部大学先端研究センター(春日井・愛知・日本) 教授、京都大学(京都・日本)名誉教授

「ヒトの病気におけるフリーラジカルと抗酸化物質の役割を含む、フリーラジカル化学における先駆的な研究」
Barry Halliwell
シンガポール国立大学上級副学長兼プロヴォストオフィス シニアアドバイザー(アカデミックアポイントメントおよびリサーチエクセレンス)、科学技術研究庁(A*STAR)バイオメディカル諮問委員会議長、シンガポール国立大学Yong Loo Lin School of Medicine生化学特別教授(シンガポール)

「溶液中の有機および生体分子の計算化学的手法および研究で、合理的な薬剤設計および合成に貢献」
William L. Jorgensen
イェール大学化学部(ニューヘブン・コネチカット・USA)Sterling教授

経済学

「起業家精神、イノベーション、競争に関する先駆的な研究に対して」
David B. Audretsch
アメリテック経済開発講座 特別教授、インディアナ大学オニール公共・環境問題学部開発戦略研究所(ブルーミントン・インディアナ・USA)所長
David J. Teece
知的資本経営タッシャー・イニシアティブ 所長、カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネススクールビジネスイノベーション研究所(バークレー・カリフォルニア・USA)経営学教授

「技術進歩とその経済的帰結の歴史と文化に関する研究に対して」
Joel Mokyr
ノースウェスタン大学(エバンストン・イリノイ・USA) 芸術科学Robert H. Strotz教授、経済学・歴史学教授

「国際的なマクロ経済学への貢献、および世界的な債務と金融危機に関する洞察力に対して」
Carmen M. Reinhart
ハーバード大学ケネディスクール(ケンブリッジ・マサチューセッツ・USA)国際金融システム学科Minos A. Zombanakis教授
Kenneth S. Rogoff
ハーバード大学(ケンブリッジ・マサチューセッツ・USA)経済学部教授、公共政策Thomas D. Cabot教授

リストの選出方法についての詳細やこれまでのHall of Citation Laureates をご覧になりたい場合は、こちらをご覧ください。

Clarivate™は、イノベーションを加速する信頼性の高い知見や分析を提供する、世界的リーディングカンパニーです。当社の使命は、新しいアイデアから人生を変えるような発明を生む時間を短縮するための、実用的な情報とインサイトを提供することにより、お客様が抱える難題を解決できるよう支援をすることです。サイエンスや知的財産の分野において、基盤となる研究やアイデアから保護、そして商業化に至るまで、イノベーションのライフサイクル全体をカバーする深い専門知識を備えたサブスクリプションおよびテクノロジーベースのソリューションを提供しています。詳細については、clarivate.comをご覧ください。

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本リリースは、Clarivateが2021年9月22日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集(一部追記を含む)したものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

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