ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)をよりよく理解するために

この記事は、ジャーナル・インパクトファクターについて、よくご質問いただく内容についてまとめています。

  1. ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)とはなんですか?
    • Web of Science Core Collectionのデータをもとに算出した、クラリベイトのみが提供するジャーナルの指標です。
    • Journal Citation Reports(JCR)から提供され、一年に一度初夏に最新版が公開されます。
      Journal Citation Reportsについてはこちら、新しいJournal Citation Reports 2021についてはこちらをご参照ください。
    • 研究発表に最適なジャーナルをみつけるためにご活用いただけます。こちらをご参照ください。
  1. ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)はどうして算出するようになったのですか?
    ジャーナル・インパクトファクターは、クラリベイトが作成するWeb of Science Core Collectionにどのようなジャーナルを収録すれば、もっとも研究コミュニティが効率的に情報を探せるかーという発想で誕生しました。その一つの指標として「最近よく研究者が参照しているジャーナル」≒最近よく引用しているジャーナルという考えが根本にあります。ただ、ジャーナルによって、収録レコード数等が異なるという事情を鑑み、(6)のような算出方法となりました。当初は、社内用の指標でしたが、利用者の方のご要望により1975年にJournal Citation Reportsとして商用化され、提供形態を(冊子、マイクロフィッシュ→CD→Web)として今に至ります。Journal Citation Reports自身は、以前とくらべものにならないほど充実しており、どんなレコードがジャーナル・インパクトファクターに貢献したのか、オープンアクセス情報を活用しているのか、どんな国や研究機関がそのジャーナルに貢献したのかなどまでわかるようになりましたが、Journal Citation Reportsは、基本的な算出仕様を維持して現在に至ります。ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)は当初から一貫して、ジャーナルの指標であり、個々の論文に値を適応することや、研究者のパフォーマンス評価への適応は想定されておりません。

  2. ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)はどのようなジャーナルに付与されているのでしょうか?
    ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)は、Web of Science Core Collectionの自然科学(Science Citation Index Expanded))と社会科学(Social Science Citation Index)の引用索引に収録されているジャーナルに付与されています。
    Web of Science Core Collectionのジャーナル収録基準はこちらで紹介しております。
  3. ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)は恒久的なものでしょうか?
    いいえ、クラリベイトは年間を通して、収録ジャーナルの評価を行っております。その結果、収録の中断や、収録はするがジャーナル・インパクトファクターなどのジャーナルの指標の集計は保留することがあります。そのようなジャーナルは理由とともに、公開しております。状況が改善すれば、再びジャーナル・インパクトファクターがつくこともあります。
  4. ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)が付与されているジャーナルのリストを知ることはできますか?
    Master Journal Listより、ジャーナルのリストはどなたでもご覧いただくことが可能です。無料のアカウントをお作りいただくことで、リストのダウンロードも可能になります。ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)の最新版には、Journal Citation Reports(JCR)の購読が必要です。
  5. ジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)の算出方法はどのようにしていますか?
  6. 計算式に含まれていない出版年のコンテンツはジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)の算出とは関連がないのでしょうか?
    はい、計算式に含まれていない出版年のコンテンツがどんなに引用されたとしても、ジャーナル・インパクトファクターには貢献しません。
    ジャーナル・インパクトファクターは、もともと今、研究者が活用しているジャーナルを知ることが目的でした。もちろんクラリベイトの他のソリューション、例えばInCites Benchmarking & Analyticsなどを活用することで、ジャーナル単位でどのぐらい、学術コミュニティに貢献してきたかなどを分析することも可能です。
  7. 投稿するジャーナルはジャーナル・インパクトファクターが年々あがっているジャーナルを選べばいいのでしょうか?
    ジャーナル・インパクトファクターを相対的な位置がわかるようになった指標と有効に活用ください。ジャーナル・インパクトファクターは、学術コミュニティの拡張にともなうWeb of Science Core Collectionの収録情報の増加を反映し、全体的に上がっています。もともと、ジャーナル・インパクトファクターは同じ分野の“似た者同士”の相対的な比較をおすすめしておりました。近年、よりわかりやすく相対的な比較が可能な、Percentile rank in categoryやQuartileなどの活用をおすすめしています。Percentile rank in categoryもQuartileもジャーナル・インパクトファクターの相対的な位置を示す値です。Percentile rank in categoryは百分位(0%から100%)であらわし、100%に近いほど、その分野の中での存在感が大きいことを示します。Quartileは、ジャーナル・インパクトファクターの相対的な位置を大きく四分割して、上からQ1>Q2>Q3>Q4とおおよその位置を把握することが可能です。ジャーナル・インパクトファクターの問題点として指摘されていた、分野による違いや、年による傾向を。できるだけなくして有効に活用していただくことができます。もちろん、テーマや他の指標も活用していただき、効果的な情報発信にご活用ください。

  8. 分母はArticle(ジャーナルに収録されたProceedings Paperを含)とReviewのみ、分子はどのドキュメントタイプも含めて算出するのはどうしてですか?
    Web of Science Core Collectionのデータは、クラリベイトのインデクサーが基準に沿って記事のタイプを索引しています。学術コミュニティで重視されているArticleとReviewを分母にしています。分子(被引用数)は、算出する対象のジャーナルと出版年が確認できればジャーナル・インパクトファクターに貢献します。引用文献の表記は、必ずしも正確に記載されていないことがよくありますが、当該年のジャーナルであるかどうかまで、できるだけ確認して算出しています。それぞれのジャーナルにどのぐらい、十分でない引用が混在しているかはJournal Citation Reports(JCR)で確認することが可能です。

    • Marie E. McVeigh, MS; The Journal Impact Factor Denominator Defining Citable (Counted) Items:1107-1109。doi:1001 /jama.2009.1301。
  9. Web of Science Core Collectionに入っていない日本語のジャーナルにジャーナル・インパクトファクター(Journal Impact Factor:略称JIF)をつけてもらうことはできますか?
    ジャーナル・インパクトファクターは、クラリベイトがWeb of Science Core Collectionのデータから算出提供しているジャーナルの指標であり、独自に評価を行い点数化しているわけではありません。したがって、Web of Science Core Collectionの収録対象になっていないジャーナルにジャーナル・インパクトファクターは存在しません。Web of Science Core Collectionへの収録を希望される場合は、https://clarivate.com/webofsciencegroup/support/wospublisherportal/ よりご連絡ください
  10. 最近増えてきた早期公開はどのように対応しますか?
    2021年に最終的な出版物になるレコードのうち、早期公開により2020年にアクセスが始まっているケースがあります。その場合は2020年のジャーナル・インパクトファクターにおいては分子として算出することが決めています。