九州大学の安達千波矢氏をはじめ、ノーベル賞級の発見で科学の進展に貢献した22名を選出
2026年9月17日、ロンドン(英)― 革新的なインテリジェンスを提供する世界有数の情報サービスプロバイダーClarivate Plc (NYSE:CLVT)は本日、2026年のクラリベイト引用栄誉賞(Citation Laureates)を発表しました。選出された22名の研究者は、いずれもノーベル賞級の研究成果を挙げた卓越した研究者です。クラリベイトのInstitute for Scientific Information(ISI)のアナリストにより選出されたこれらの研究者は、科学と社会の発展に大きな影響を与える先駆的な貢献を果たしています。
クラリベイトが引用栄誉賞の選出を開始して以来、89名の受賞者が後にノーベル賞を受賞しています。その多くは、引用栄誉賞への選出から数年後にノーベル賞を受賞しています。
クラリベイトのアカデミア&ガバメント部門の社長であるBar Veinsteinは、次のように述べています。
「クラリベイト引用栄誉賞は20年以上にわたり、卓越した研究成果の影響力を示す、データに基づく指標として世界で広く注目されている評価の一つです。クラリベイト引用栄誉賞は、基礎研究の並外れた価値を示す発見を成し遂げた研究者を顕彰するものです。今年表彰する研究成果も、GLP-1医薬品、精密な遺伝子編集技術、光学医療イメージング技術など、その多くが数十年前に始まった科学的な問いから生まれています。こうした研究成果は今日、人々の生活の向上に貢献し、政策立案に影響を与え、未来の社会や技術の発展に貢献しています。私たちは、これらの研究者と、その研究が社会にもたらした長期にわたる功績を称えられることを大変誇りに思います。」
クラリベイト引用栄誉賞に選出された研究者の代表的な論文は、それぞれの研究分野で極めて高い引用実績を誇り、研究分野や国境を越えて大きな影響を与えています。今年の受賞者は、以下をはじめとする社会的に重要な研究領域で、科学的知見の発展に大きく貢献しました。
- 生理学・医学:GLP-1バイオロジーと肥満症治療、光学イメージング、免疫システム研究
- 物理学:先進的OLEDディスプレイ、省エネルギーコンピューティング材料、量子エレクトロニクス
- 化学:自己組織化単分子膜、生体電子移動、精密な遺伝子編集技術
- 経済学:デジタル経済、金融政策および中央銀行制度、組織イノベーションと経済活力
クラリベイト引用栄誉賞は、研究者、研究機関、研究助成機関、政策立案者が、極めて大きな影響力を持つ研究を特定するのに役立つとともに、科学メディア、ノーベル賞を注視する関係者、そして広く一般社会に対して、未来を切り拓く発見に関する洞察を提供します。
今年選出された研究成果の中でも特に注目されるのが、GLP-1医薬品の基盤となった科学的発見です。Daniel J. Drucker、Jens Juul Holst、Svetlana Mojsovの3氏による基礎的な研究成果は、GLP-1受容体作動薬の実用化を可能にし、世界中で何百万人もの糖尿病および肥満患者の治療に大きな変革をもたらしました。さらに、これらの医薬品は幅広い疾患領域において有効性が示されており、その活用範囲はさらに広がっています。
シナイ・ヘルス ルーネンフェルド・タネンバウム研究所のシニア・インベスティゲーターであり、トロント大学医学部内分泌学部門教授、バンティング・アンド・ベスト糖尿病センター ノボノルディスク・チェア(インクレチン生物学)のDaniel J. Drucker氏は、次のように述べています。
「クラリベイト引用栄誉賞に選出されたことを大変光栄に思います。GLP-1医薬品の歩みは、好奇心に基づく基礎研究の力を示しています。腸管ホルモンがどのように代謝を調節するのかを解明しようとする研究から始まった取り組みが、今では世界中の何百万人もの人々の生活を改善する治療法へとつながりました。また、このことは、基礎科学が研究者の当初の想像をはるかに超える大きな影響をもたらし得ることを示しています。」
2026年のクラリベイト引用栄誉賞は、7つの国・地域を代表する主要な研究機関に所属しており、ノーベル賞級の研究が世界的に行われていることを示しています。受賞者のうち16名は米国に所属しており、このほかカナダ、デンマーク、イスラエル、日本、中国本土、スイスからそれぞれ1名が選出されました。
2002年以来、ISIのアナリストは、Web of Science Core Collectionに収録される出版物と引用データを活用し、ノーベル賞級の研究成果とその研究者を特定しています。1970年以降、Web of Scienceに索引付けされた6,700万報を超える論文や会議録のうち、2,000回以上引用されたのはわずか0.02%未満に過ぎません。クラリベイト引用栄誉賞は、この0.02%未満の卓越した研究成果から、厳密な被引用分析と専門家の洞察に基づいて選出されます。
2026年の受賞者と受賞理由は以下の通りです。
| 生理学・医学 |
Daniel J. Drucker
シナイ・ヘルス ルーネンフェルド・タネンバウム研究所(カナダ)
トロント大学(カナダ)
Jens Juul Holst
コペンハーゲン大学(デンマーク)
Svetlana Mojsov
ロックフェラー大学(米国)
「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の発見とその機能の解明、ならびに生物学的作用に関する研究に対して」
“for identification and characterization of Glucagon-Like Peptide-1 (GLP-1) and studies of its biological activity”
James G. Fujimoto
マサチューセッツ工科大学(米国)
David Huang
オレゴン健康科学大学(米国)
Eric A. Swanson
マサチューセッツ工科大学(米国)
「医学、生物医学研究およびその他の分野における新たな画像診断技術である光干渉断層計(Optical Coherence Tomography: OCT)の開発に対して」
“for the development of optical coherence tomography, a new imaging modality in medicine, biomedical research, and other applications”
Timothy A. Springer
ハーバード大学(米国)
「免疫系において重要な役割を果たす細胞接着受容体の発見に対して」
“for identifying key adhesion receptors in the immune system”
| 物理学 |
安達 千波矢
九州大学 工学研究院 応用化学部門
最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA) (日本)
Stephen R. Forrest
ミシガン大学(米国)
Mark E. Thompson
南カリフォルニア大学(米国)
「リン光有機発光ダイオード(PHOLED)および熱活性化遅延蛍光(TADF)に関する先駆的研究により、超高効率の有機発光ダイオードを可能にしたことに対して」
“for pioneering research on phosphorescent organic light-emitting diodes (PHOLEDs) and thermally activated delayed fluorescence (TADF), enabling ultrahigh-efficiency organic light-emitting diodes”
Nicola A. Spaldin
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(スイス)
「エネルギー効率に優れた新しいデバイスの実現につながる、室温動作の磁気電気マルチフェロイクスに関する基礎理論の発展に対して」
“for fundamental theoretical developments leading to the establishment of room-temperature magnetoelectric multiferroics, which are enabling new energy-efficient device paradigms”
Qikun Xue
清華大学(中国本土)
「量子異常ホール効果の実験的観測に対して」
“for experimental observation of the quantum anomalous Hall Effect”
| 化学 |
David L. Allara
ペンシルベニア州立大学(米国)
Ralph G. Nuzzo
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(米国)
Jacob Sagiv
ワイツマン科学研究所(イスラエル)
「自己組織化単分子(SAMS)の開発に対して」
“for development of self-assembled monolayers (SAMS)”
Harry B. Gray
カリフォルニア工科大学(米国)
Jay R. Winkler
カリフォルニア工科大学(米国)
「タンパク質内で起こる長距離電子移動の仕組みの解明に貢献した研究に対して」
“for advancing understanding of long-range electron transfer in proteins”
David R. Liu
ハーバード大学(米国)
「生体内のDNAを直接編集する精密な遺伝子編集技術であるベースエディティングおよびプライムエディティングの開発により、生命科学に革命をもたらすとともに、人命を救うプログラム可能な医薬品を可能にした功績に対して」
“for developing base editing and prime editing, precision gene editing technologies that directly edit DNA in living systems, revolutionizing the life sciences and enabling life-saving programmable medicines”
| 経済学 |
Susan C. Athey
スタンフォード大学(米国)
Hal R. Varian
Google(米国)
カリフォルニア大学バークレー校(米国)
「情報技術の経済学に関する先駆的な研究に対して」
“for pioneering analysis of the economics of information technology”
Michael D. Woodford
コロンビア大学(米国)
「金融政策の理論と実務への貢献に対して」
“for contributions to the theory and practice of monetary policy”
Sidney G. Winter
ペンシルベニア大学(米国)
「進化論に着想を得た経済活力および組織行動に関する研究に対して」
“for studies of economic dynamism and organizational behavior inspired by evolutionary theory”
クラリベイト引用栄誉賞は特定の年のノーベル賞受賞者を予測するものではなく、ノーベル賞級の業績を持ち、世界的な評価に値する研究者を顕彰するものです。
###
報道者向け注記:
- 九州大学による本件に関するプレスリリースは以下のリンクをご覧ください。
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/notices/view/3170
- 2026年のクラリベイト引用栄誉賞の受賞者一覧と、研究成果の詳細はCitation Laureate 2026 (クラリベイト引用栄誉賞特設サイト) をご覧ください。
- クラリベイト引用栄誉賞受賞者選定の分析手法や、今年の受賞研究についての詳細はブログ(英語)をご覧ください。
- 2002年以降に選出された引用栄誉賞受賞者のリストはHall of Citation Laureatesをご覧ください。
- クラリベイトのInstitute for Scientific Information (ISI)の研究分析部門責任者、David Pendleburyへの取材やインタビューをご希望の場合はクラリベイトまでお問合せ下さい。
- 今年のノーベル賞発表は10月5日~12日に開催されます。発表はnobelprize.org でライブストリーミング上映される予定です。
クラリベイトについて
Clarivate は、世界有数の情報サービスプロバイダーです。当社は、人と組織を信頼性の高いインテリジェンスでつなぎ、人々の視点、仕事、そして世界を変えます。学術・政府機関、ライフサイエンス・ヘルスケア、および知的財産の分野で深い専門知識と結びついたサブスクリプションおよびテクノロジーベースのソリューションを提供しております。詳細については、clarivate.com/ja をご覧ください。
本リリースは、Clarivateが2026年9月17日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集(一部追記を含む)したものです。オリジナルは英文ニュースリリースをご参照ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
本件に関するお問い合わせ先
【日本国内】
クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社
アカデミア&ガバメント事業部
Email: marketing.jp@clarivate.com
【日本国外:グローバル】
Rebecca Krahenbuhl, Senior Manager, External Communications
Email: newsroom@clarivate.com