2022年の「クラリベイト引用栄誉賞」受賞者を発表

これまでにクラリベイトのInstitute for Scientific Information (ISI) が選出した64人の受賞者がその後ノーベル賞を受賞

2022年9月21日、ロンドン(英)- イノベーションを加速させる信頼性の高い情報や知見を提供する世界的リーディングカンパニーであるクラリベイトplc (NYSC:CLVT)は、本日、4カ国から20名の世界的な研究者をCitation Laureates™(引用栄誉賞)に選出しました。この受賞者は、クラリベイトのInstitute for Scientific Information (ISI)™の分析により、「ノーベル賞クラス」の研究成果と認められた研究者です。

今年の引用栄誉賞受賞者の功績には、乳がんや卵巣がん、柔軟な「電子皮膚」、幸福とウェルビーイングの経済学における革新的な研究が含まれます。受賞者のうち14名は米国、3名は日本、2名は英国、1名はドイツの主要学術機関を拠点に活動しています。

2002年以来、ISIのアナリストは、Web of Science™の引用データを用いて、ノーベル賞と同じ研究分野(医学・生理学、物理学、化学、経済学)において影響力のある研究者を毎年特定しています。1970年以降、Web of Scienceに掲載された約5,500万報の論文や会議録等のうち、2,000回以上引用されているのはわずか7,600報(0.01%)に過ぎません。このような非常に影響力の高い論文の著者の中から引用栄誉賞受賞者が選ばれます。引用栄誉賞受賞者の研究論文は頻繁に引用され、科学に極めて大きく貢献をしており、時には社会に変革をもたらします。

2022年10月初旬、学術界最高の栄誉であるノーベル賞の発表が行われます。この一年に一度の発表は世界的に様々な憶測を呼びますが、クラリベイトは定性的な評価に加えて定量的なデータを用いて、候補者に関する貴重なインサイトを提供する唯一の組織です。これまでに、「Hall of Citation Laureates」に掲載されている受賞者のうち64名がノーベル賞を受賞しています。

2022年の受賞者と受賞理由は以下の通りです。

 

医学・生理学
長谷川 成人

東京都医学総合研究所 脳・神経科学研究分野 分野長(日本)

Virginia Man-Yee Lee

ペンシルベニア大学(米国)

筋萎縮性側索硬化症 (ALS) および前頭側頭葉変性症 (FTLD) の病理学的特徴である TDP-43 の

同定、および神経変性疾患の研究への貢献

For the identification of TDP-43, a pathological signature of amyotrophic lateral sclerosis (ALS) and frontotemporal lobar degeneration (FTLD), and for other contributions to the study of neurodegenerative diseases

Mary-Claire King

ワシントン大学(米国)

乳がん・卵巣がんの遺伝的感受性を証明し、BRCA1遺伝子の変異が果たす役割を発見

For demonstrating inherited susceptibility for breast and ovarian cancer and discovering the role played by mutations of the BRCA1 gene

Stuart H. Orkin

ハーバード大学メディカルスクール(米国)

ハワード・ヒューズ医学研究所(米国)

血液疾患の遺伝的基盤に関する基礎研究および鎌状赤血球貧血やβサラセミア症の遺伝子治療の発展

For foundational research on the genetic basis of blood diseases and for advancing gene therapy for sickle cell anemia and beta-thalassemia

物理学

Immanuel Bloch

マックス・プランク研究所(ドイツ)

ルードヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(ドイツ)

超低温の原子・分子ガスを用いた量子多体系の画期的な研究により、「人工固体」の量子シミュレーションへの道を開いたこと

For ground-breaking research on quantum many-body systems using ultra-cold atomic and molecular gases, opening the way to quantum simulations of ‘artificial solids’

Stephen R. Quake

チャン・ザッカーバーグ・イニシアチヴ(米国)

スタンフォード大学(米国)

ナノリットル・スケールにおける流体現象の物理学への貢献

For contributions to the physics of fluid phenomena on the nanoliter scale

谷口 尚

国立研究開発法人 物質・材料研究機構

フェロー、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA) 拠点長(日本)

渡邊 賢司

国立研究開発法人 物質・材料研究機構

機能性材料研究拠点 電気・電子機能分野 電子セラミックスグループ 主席研究員(日本)

二次元材料の電子的挙動に関する研究に革命をもたらした、六方晶窒化ホウ素結晶の高純度化技術の開発

For fabrication of high-quality hexagonal boron nitride crystals, the availability of which enabled a revolution in research on the electronic behavior of two-dimensional materials

化学
Zhenan Bao

スタンフォード大学(米国)

柔軟な「電子皮膚」を含む、有機および高分子電子材料の新しいバイオミメティック・アプリケーションの開発

For the development of novel biomimetic applications of organic and polymeric electronic materials, including flexible ‘electronic skin’

Bonnie L. Bassler

プリンストン大学(米国)

ハワード・ヒューズ医学研究所(米国)

E. Peter Greenberg

ワシントン大学(米国)

化学伝達システムとしての、クオラムセンシングによる細菌の遺伝子発現制御の研究

For research on regulation of gene expression in bacteria through quorum sensing, a chemical communication system

Daniel G. Nocera

ハーバード大学(米国)

プロトン結合電子移動(PCET)とそのエネルギー科学および生物学への応用に関する基礎的な実験および理論的貢献

For fundamental experimental and theoretical contributions to proton-coupled electron transfer (PCET) and its application to energy science and biology

経済学
Daron Acemoglu

マサチューセッツ工科大学(米国)

Simon Johnson

マサチューセッツ工科大学(米国)

James A. Robinson

シカゴ大学(米国)

国家発展の形成における政治・経済制度の役割に関する広範な分析

For far-reaching analysis of the role of political and economic institutions in shaping national development

Samuel Bowles

サンタフェ研究所(米国)

マサチューセッツ大学アマースト校(米国)

Herbert Gintis

マサチューセッツ大学アマースト校(米国)

サンタフェ研究所(米国)

自己利益だけではない、互恵主義、利他主義、その他の社会的協力を含む経済行動の理解を広めるエビデンスとモデルを提供

For providing evidence and models that broaden our understanding of economic behavior to include not only self interest but also reciprocity, altruism, and other forms of social cooperation

Richard A. Easterlin

南カリフォルニア大学(米国)

Richard Layard
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(英国)

Andrew J. Oswald

ウォーリック大学(英国)

幸福と主観的なウェルビーングの経済学への先駆的な貢献

For pioneering contributions to the economics of happiness and subjective well-being

 

ISIのSenior Citation AnalystであるDavid Pendleburyは次のように述べています。「今年の引用栄誉賞受賞者のインパクトは計り知れず、革新的で先駆的な研究を代表しています。クラリベイトが「ノーベル賞クラス」として独自に選定した彼らの研究を評価し、祝福できることを光栄に思います。私たちは、これらの研究エリートの中にはノーベル賞を受賞する研究者もいると予想しており、彼らの引用実績と、それが研究者コミュニティに与える影響力が強く関連していることを改めて示しています。

ワシントン大学微生物学教授のE. Peter Greenberg氏は、今回のCitation Laureate受賞について、次のようにコメントしています。「研究活動とは個々の研究者の成果というよりも、コミュニティ全体の発展に寄与することです。全ての研究は他の研究者が積み重ねた発見のうえに成り立っています。ですから今回私が選出されたことは嬉しい驚きでした。というのも、Citation Laureate(引用栄誉賞)は他の賞とは異なり、論文のインパクトが評価されるからです。私は、ある研究が開花する場所に初めから携わり、そしてその成果が他の研究者の注目を集めるところに立ち会うことができました。これは、私たちの研究に続く研究が非常に活発であることを示すものであり、さらに私たちの研究分野が発展するのを目の当たりにできたことを、非常に素晴らしく思っています。」

 

受賞者の選出方法についての詳細やこれまでのHall of Citation Laureatesをご覧になりたい場合は、こちらをご覧ください。

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編集部の方へ

インタビューには、クラリベイトのInstitute for Scientific InformationのSenior Citation AnalystであるDavid Pendleburyへの取材やインタビューをご希望の場合はクラリベイトまでお問合せ下さい。

クラリベイトについて

クラリベイト™は、イノベーションを加速する信頼性の高い知見や分析を提供する、世界的リーディンクカンパニーです。当社の使命は、新しいアイデアから人生を変えるような発明を生む時間を短縮するための、実用的な情報とインサイトを提供することにより、お客様が抱える難題を解決できるよう支援をすることです。サイエンスや知的財産の分野において、基盤となる研究やアイデアから保護、そして商業化に至るまで、イノベーションのライフサイクル全体をカバーする深い専門知識を備えたサブスクリプションおよびテクノロジーベースのソリューションを提しています。

詳細については、clarivate.comをご覧ください。

本リリースは、Clarivateが2022年9月21日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳再編集(一部追記を含む)したものです。オリジナルは英文ニュースリリースをご参照ください。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

本件に関する問い合わせ先

クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社

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