スマホアプリで糖尿病や依存症を治療する:デジタルセラピューティクスとは?

スマホアプリで糖尿病や依存症を治療する:デジタルセラピューティクスとは?

 

2020年2月

 シニア・データ・コンサルタント 安藤 聡子

 

アプリと医薬品の併用療法を視野にいれた、製薬メーカーとベンチャーの提携が話題になっています。デジタルセラピューティクスでは今使っているスマートフォンやタブレットが医療機器として活躍します。コンピュータサイエンスと医薬の融合技術である、デジタルセラピューティクスに関する最新の論文をみてみましょう。

 

目次

デジタルセラピューティクスとは?

デジタルセラピューティクスの研究動向

デジタルセラピューティクスの注目論文

まとめ

 

デジタルセラピューティクスとは?

スマートフォンのアプリなどデジタル技術を用いて疾患の診断、予防、治療などを支援したりするデジタルセラピューティクスが注目を集めており、2019年には国内でもベンチャーと製薬企業の提携が相次いで発表されました。デジタルセラピューティクスは健康アプリではなく、エビデンスに基づいた治療的介入をおこなうソフトウェアで、臨床試験で評価を受け、医師が処方します。現在(2020年1月)日本ではまだ、認可された実績はありませんが、海外ではすでに実績があり、米FDA(食品医薬品局)は、ピア・セラピューティクスの治療用アプリ「Reset」(依存症向け)と「Reset-O」(オピオイド中毒向け)を認可しています。

 

デジタルセラピューティクスの研究動向

デジタルセラピューティクスについて、「Digital Therapeutics」で検索すると2018年頃から急激に論文が増えていました。米国での存在感が圧倒的で、インド、イスラエル、日本からも論文が散見されます。

 

デジタルセラピューティクスの注目論文

日本発の3報はベンチャー企業であるCureApp(キュア・アップ)が関与している論文でした。3報ともフリーで読むことが可能です。禁煙について対面と遠隔医療を比較した論文は、Medical Informatics分野で最もジャーナルインパクトファクターの高いJOURNAL OF MEDICAL INTERNET RESEARCHに発表されていました。

Clinical Efficacy of Telemedicine Compared to Face-to-Face Clinic Visits for Smoking Cessation: Multicenter Open-Label Randomized Controlled Noninferiority Trial
著者名: Nomura, Akihiro; Tanigawa, Tomoyuki; Muto, Tomoyasu; et al. JOURNAL OF MEDICAL INTERNET RESEARCH   巻: 21   号: 4     記事番号: e13520   発行: APR 26 2019

デジタルセラピューティクスは、展開の早いトピックですが、すでに4報のレビューが発表されています。そのなかでも脳卒中後の神経障害に関するレビューは、末梢血管疾患関係のトップジャーナルに発表されていました。

Digital Therapeutics: Emerging New Therapy for Neurologic Deficits after Stroke
著者名: Choi, Mi Joo; Kim, Hana; Nah, Hyun-Wook; et al. JOURNAL OF STROKE   巻: 21   号: 3   ページ: 242-258   発行: SEP 2019

 

まとめ

最近急激に話題になったトピックについて、それぞれの分野で存在感のあるジャーナルに掲載された論文を見てみるのは一つの有効な方法です。

 

­­【データソース】 学術文献・引用索引データベース「Web of Science® Core Collection」

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