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インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関2026年版

インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関2026年版

2026年5月
クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社
アカデミア&ガバメント事業部
ストラテジック・カスタマー・サクセス・コンサルタント 安藤聡子

クラリベイトは、高被引用論文数の分析に基づく日本の研究機関ランキングを発表しました。本分析は、後続研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)の数をもとに、世界の中で日本が高い影響力を持つ研究分野において、国内で特に存在感のある研究機関を特定することを目的としています。

クラリベイトでは、各研究分野における被引用数が世界の上位1%に入る卓越した論文を「高被引用論文」と定義しています。高被引用論文は、影響力の高い研究者(Highly Cited Researchers)の選定をはじめ、論文の卓越性を客観的に評価する指標として広く活用されています。

今回の分析では、日本の高被引用論文の総数は増加しているものの、学術コミュニティの拡大に伴い、わずかながらインドに及ばず、順位は12位から13位に後退しました。一方で、高被引用論文の割合(1.0%)は維持されています。

分野別では、トップ10以内に入る分野として、物理(5位)、化学(8位)、材料科学(9位)が挙げられ、2025年と同様に3分野を維持しています。

日本国内の総合分野ランキング上位20機関の内訳は、大学が15機関、研究開発法人が5機関で、過去3年間において割合の変動はありません。また、上位5機関の順位にも昨年から変化はありません。トップ10では、名古屋大学(6位)および国立がん研究センター(9位)がそれぞれ順位を上げています。

対象分野は、日本が世界12位以内に位置する分野を取り上げています。そのうち、地球科学、免疫学、物理では、高被引用論文の割合が日本全体平均(1.0%)を上回る1.3%となっています。なお、宇宙科学も世界12位に位置していますが、日本の研究機関数が10機関未満のため、本分析では対象外としています。

総合・分野別のいずれにおいても、上位機関は高被引用論文数だけでなく、その割合も日本平均を上回る傾向にあります。

分野別に見ると、地球科学、免疫学、物理、植物・動物学では、日本全体としても高被引用論文の割合が1%を超えています。一方、化学および材料科学では、上位機関においては割合が日本平均および総合平均(1%)を上回るケースが多いものの、日本全体では1%を下回る傾向が続いており、この点は昨年から変化していません。

また、分野別ランキングでは、化学・物理・材料科学などにおいて総合ランキング掲載機関との重複が多く見られます。個別分野に特徴的な機関としては、物理分野では高エネルギー加速器研究機構、免疫学では国立病院機構相模原病院が挙げられます。

さらに、分野別のみで上位に入る機関が多い分野として、地球科学および植物・動物学が顕著です。地球科学では、国立環境研究所、海洋研究開発機構、気象研究所、宇宙航空研究開発機構などが上位にランクインしています。植物・動物学では、農研機構、奈良先端科学技術大学院大学、埼玉大学が含まれています。

 

「国内研究機関の総合分野トップ 20

<表1>総合/General(世界13位)高被引用論文の割合1.0

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 東京大学 1729 1.6%
2 京都大学 1027 1.4%
3 理化学研究所 672 2.1%
4 大阪大学 629 1.1%
5 東北大学 587 1.1%
6 名古屋大学 553 1.3%
7 物質・材料研究機構 548 3.1%
8 九州大学 490 1.2%
9 国立がん研究センター 470 4.0%
10 東京科学大学 422 1.0%
11 北海道大学 401 1.0%
12 慶應義塾大学 345 1.3%
13 筑波大学 331 1.1%
14 広島大学 303 1.1%
15 自然科学研究機構 287 2.0%
16 産業技術総合研究所 261 1.0%
17 神戸大学 253 1.2%
18 千葉大学 205 1.1%
19 早稲田大学 198 1.2%
20 近畿大学 196 2.5%

 

<表2>物理/PHYSICS(世界5位)高被引用論文の割合1.3%

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 東京大学 389 2.2%
2 物質・材料研究機構 262 5.1%
3 理化学研究所 219 2.6%
4 京都大学 168 1.8%
5 名古屋大学 119 1.8%
6 大阪大学 117 1.4%
7 高エネルギー加速器研究機構 115 2.3%
8 東北大学 108 1.3%
9 東京科学大学 98 1.7%
10 自然科学研究機構 67 2.5%
10 筑波大学 67 1.4%

 

<表3>化学/CHEMISTRY(世界8 位)高被引用論文の割合0.8%

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 京都大学 142 1.3%
2 東京大学 117 1.1%
3 物質・材料研究機構 105 2.6%
4 北海道大学 67 1.1%
5 産業技術総合研究所 64 1.1%
6 九州大学 62 1.1%
7 大阪大学 60 0.7%
8 名古屋大学 51 1.0%
9 東京科学大学 50 0.7%
10 東北大学 40 0.6%

 

<表4>材料科学/MATERIALS SCIENCE(世界9位)高被引用論文の割合0.8%

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 物質・材料研究機構 128 1.7%
2 東京大学 87 1.4%
3 東北大学 57 0.8%
4 九州大学 41 1.0%
4 産業技術総合研究所 41 1.0%
6 京都大学 37 0.9%
7 理化学研究所 34 2.5%
8 北海道大学 27 1.0%
9 東京科学大学 24 0.6%
10 大阪大学 22 0.4%

 

<表5>免疫学/IMMUNOLOGY(世界12位)高被引用論文の割合1.3%

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 大阪大学 31 2.3%
2 京都大学 26 2.4%
3 理化学研究所 20 3.1%
3 東京大学 20 1.3%
5 慶應義塾大学 19 2.5%
6 東京科学大学 18 2.8%
7 千葉大学 13 2.3%
7 北海道大学 13 1.5%
9 国立病院機構 相模原病院 11 4.1%
9 広島大学 11 2.0%

 

<表6>地球科学/GEOSCIENCES(世界12位)高被引用論文の割合1.3%

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 東京大学 100 1.5%
2 海洋研究開発機構 72 1.8%
3 国立環境研究所 55 4.8%
4 気象庁気象研究所 37 2.7%
5 北海道大学 36 1.4%
6 気象庁 34 3.2%
7 名古屋大学 29 1.4%
8 京都大学 28 0.9%
9 宇宙航空研究開発機構 19 2.1%
9 東北大学 19 0.7%

 

<表7>植物・動物学/PLANT & ANIMAL SCIENCE(世界12位)高被引用論文の割合1.1%

国内順位 大学名 高被引用論文 高被引用論文の割合
1 理化学研究所 79 5.1%
2 東京大学 76 1.6%
3 名古屋大学 57 3.5%
4 京都大学 44 1.1%
5 東北大学 31 2.0%
6 岡山大学 30 2.5%
7 農研機構 27 1.0%
8 奈良先端科学技術大学 24 4.7%
9 北海道大学 23 0.6%
10 埼玉大学 17 5.1%

 

*大学共同利用機関法人 自然科学研究機構:構成する 5つの基盤機関(国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所)と二つのセンター(アストロバイオロジーセンター、生命創成探究センター)の組織名を名寄せした集計値です。

*東京科学大学:旧東京工業大学と旧東京医科歯科大学を合算し、重複を除いています。

※ 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
戦略的に科学技術イノベーションの創出を推進するファンディングエージェンシーとしての事業内容を鑑みランキングには入れていませんが、高被引論文数は278報、高被引用論文の割合は1.9%でした。

国立研究開発法人 科学技術振興機構

分野 高被引用論文数 高被引用論文の割合
化学 80 1.8%
物理 50 2.0%
植物・動物学 33 5.3%
材料科学 28 1.7%
免疫 6 2.4%
総合 278 1.9%

*高被引用論文数の総合は、表に記載のない分野も含めた総計となっております。

 

【本分析に使用したデータベース】
Essential Science Indicators(以下 ESI)

【高被引用論文(Highly Cited Papers)の定義】
ESI は、科学全体を大きく 22 の研究分野に分類しています。そして、それぞれの分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義しています。引用は分野によって動向が異なること、一般的に論文発表から時間を経るほど多くなることを踏まえ、各年・分 野別の高被引用論文を特定し、集計しています。 本分析は、ESIに収録されている世界の研究機関情報から、日本の各研究機関が上記条件でどれだけイン パクトの高い論文を出しているかに注目しました。高被引用論文を多く輩出する研究機関は、比例してその分野で関心を集める傾向があります。そのため、これら相対的定量データは、世界的な学問・研究にどれだけ影響力を持っているか、その機関の世界での位置を示唆するひとつの有力な指標となります。

【データ対象期間】
2015 年 1 月 1 日~2025 年 12 月 31 日 (11 年間)

【Essential Science Indicators とは】
分析に用いたEssential Science Indicatorsは、学術論文の引用動向データを提供する統計データベースです。学術文献・引用索引データベース「Web of Science Core Collection」の収録レコードをもとに、論文の被引用数から、世界のトップ1パーセントにランクされる研究者と研究機関の情報をそれぞれ収録しています。収録データは2か月ごとに更新されます。Essential Science Indicators製品概要

【InCites とは】
InCitesは、Web上で提供され、カスタマイズにも対応した、引用文献に基づく研究評価ツールです。学術機関や政府機関の管理者の皆様は、研究者の生産性を分析し、ベンチマーキングの結果を世界中の研究機関と比較することができます。InCites製品概要

【Web of Science とは】
Web of Scienceは、Web of Science Core Collectionをはじめとする膨大な量の高品質な文献コンテンツを包括し、自然科学、社会科学、人文科学の情報の迅速な検索、分析、共有を支援する最高水準の調査研究プラットフォームです。Web of Science製品概要

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