仮想通貨の現金化リスク

仮想通貨の現金化リスク

Stefanie Ellis
Portfolio Marketing Manager, MarkMonitor

 

2018年6月5日

 

 

あたかもSF小説から飛び出してきたような話に聞こえるかもしれませんが、仮想通貨は現実の話です。仮想通貨とは、インターネット上で商品やサービスを購入するために使えるさまざまなデジタル通貨です。最も知名度が高い仮想通貨であるビットコインの台頭により最近になり、一般化しました。

 

数年前、その相場急騰により、ビットコインは瞬く間に社会現象となり、ビットコインに投資すれば大儲けできるかのように認識されるようになりました。現に2017年1月から12月までに、ビットコインの価格は953ドルから20,089へと2,000%以上も上昇しました。

 

ビットコインの相場が変動し続け、手っ取り早く儲けようとする便乗組が増える中で、深刻な仮想通貨詐欺の可能性も同時に増えてきています。ビットコインなど仮想通貨を支える暗号化技術によって、仮想通貨の追跡は困難であることで知られており、AからBへ匿名で移動させることができます。この技術が金銭を送受信する当事者にとってセキュリティ上のメリットとなる一方で、その金銭が攻撃者によって盗まれれば、その犯人や盗まれた通貨の行方を追うことは、基本的に不可能であることも意味します。

 

こうした理由から、仮想通貨はフィッシング攻撃の標的となっています。従来のハッキング手法でビットコインなどを盗むことは極めて難しいかもしれませんが、フィッシング攻撃者がソーシャルエンジニアリング手法を利用して人を騙し、そのデジタルウォレット(個人が仮想通貨を保存する場所)へのアクセスが認められれば、金銭を盗むのはそれほど難しいことではないのです。

 

また、仮想通貨のさらなるリスクとして、相場の変動と、公的機関により規制されていないという事実が挙げられます。仮想通貨の相場はほぼリアルタイムで変化しているため、購入合計がわずか1~2ビットコインという人でも、その時の相場によっては、デジタルウォレットには予想を遥かに上回る金額が入っているということも考えられます。こうした多額の金銭はフィッシング攻撃のターゲットとなっており、個人や企業が盗難に気付いた時には、ほとんどなす術がないのが現状です。

 

仮想通貨詐欺は驚異的な規模で発生しています。Bitcoin Newsの記事によると、仮想通貨詐欺の被害額は1日あたり9百万ドルであり、仮想通貨の普及と共に、この数字が増加することは間違いないでしょう。

 

ブランド側が自社とそのお客様を仮想通貨詐欺から守ることは、とても難しいことかもしれません。詐欺行為のほとんどが気づかれない内に行われているとなれば尚更です。ただし、仮想通貨やデジタルウォレットを銀行のカードやオンラインのログイン情報と同じように慎重に取り扱えば、そのリスクを下げることができます。仮想通貨ごとに、その相場やセキュリティレベルは異なりますが、すべての仮想通貨には正規の金銭的価値があるため、悪意ある者による侵害を防ぐための包括的なセキュリティが必要です。

 

仮想通貨は時が経てば無くなるというわけではありませんし、ブランドの将来にとって、大きな可能性を秘めているとも言えます。しかし、仮想通貨を安全かつ安心して使えるようになるのは、まだまだ先の話でしょう。

 

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