TARPEYO®/Kinpeygo®
Budesonide
Nefecon®
TARPEYO®/Kinpeygo®(プロジェクト名Nefeconとして開発)は、副腎皮質ステロイドであるBudesonideの第2世代の非ハロゲン化合成製剤です。Budesonideの遅延放出製剤は、原発性免疫グロブリンA(IgA)におけるタンパク尿の減少および腎機能低下の遅延に対する有効性が高く、従来の副腎皮質ステロイドよりもはるかに優れた安全性プロファイルを示しています。このため、高リスク患者に広く利用される可能性が高いと考えられます。
Calliditas Therapeutics ABはSTADA Arzneimittel AGと提携し、欧州でKinpeygoを、Everest Medicinesと提携し、中国本土、香港、マカオ、台湾、韓国、シンガポールでTARPEYOを商業化しています。

Budesonide 詳細情報
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Calliditas Therapeutics AB, Everest Medicines and STADA Arzneimittel AG
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コルチコステロイド遅延放出製剤
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急速な疾患進行リスクを有するIgA腎症成人患者におけるタンパク尿減少のための連日経口投与 。
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自己免疫性肝炎(AIH)および原発性胆汁性胆管炎の治療薬としても評価が行われています。自己免疫性肝炎(AIH)および原発性胆汁性胆管炎の治療薬としても評価が行われています。
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約50万人が、2023年にG7市場でIgA腎症の有病成人であると診断されています 。
なぜDrug to Watchなのか?
第2世代ステロイドである合成非ハロゲン化budesonideの、標的薬物放出テクノロジーを使用した新規製剤は、第一世代コルチコステロイドより優れた安全性および有効性を提供します。4 mg徐放性カプセルは腸溶コーティングされているため回腸に到達するまでは溶解せず、腸管内で薬剤が徐々に放出され、疾患要因と考えられるIgA免疫複合体形成に関与するパイエル板を含む粘膜B細胞を標的として作用します。Budesonideは吸収性が低いため、長期間使用しても他のコルチコステロイドより副作用が少ない可能性があります。
規制当局への承認申請は、第III相プラセボ対照NefIgArd臨床試験のデータに基づいて行われました。本試験は、最適化したレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬による最大耐量での治療にもかかわらず末期腎疾患(ESRD)に進行するリスクが認められた原発性IgA腎症成人患者を対象として実施されました。Budesonideを9ヵ月間投与し、その後15ヵ月間試験薬を投与せずにフォローアップ観察を行いました。
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Budesonide投与により、以下に示すIgA腎症の進行遅延が確認されました。
- Budesonideの9ヵ月間投与後のタンパク尿(尿タンパク質/クレアチニン比[UPCR])減少率は34%でした(プラセボでは5%)
- BudesonideによるUPCRの大幅な減少は2年後においても維持されていました。
- 9カ月および2年時点において、BudesonideによるeGFRのプラセボと比較した有意な低下が観察されました。
審査・承認状況
2016年11月
オーファンドラッグ指定:EMA
2020年11月
画期的治療薬指定:中国本土NMPA
2021年12月
迅速承認米国FDA
2022年7月
条件付き承認(CMA):EMA
2022年11月
NDA承認:中国本土NMPA
2023年2月
急速な疾患進行リスク(UPCR ≥1.5 g/g)を有するIgA腎症成人患者 条件付き承認(CMA)承認:英国MHRA
2023年6月
sNDA承認:米国FDA
2023年8月
優先審査承認:米国FDA
2023年9月
MAA提出:EMA
2023年10月
MAA提出:英国MHRA
2023年12月20日
PDUFA date
実際上市年(実績・予測):
- 2021: 年 米国
- 2022: 年 EU、英国
- 2024: 中国本土
2028年以降に特許存続期間が満了しはじめると推定される
BudesonideはIgA腎症/ベルジェ病市場にどのような影響を与えるのか?
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IgA腎症に関しては、発症機序のさまざまな段階を標的とする多様な治療法が出現していることから、その市場は確実に堅固な成長を達成すると考えられます。
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TARPEYO/Kinpeygoが承認されるまで、IgA腎症の治療選択肢は支持療法のみであり、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害剤、利尿薬、コルチコステロイドおよび免疫抑制剤などの一般的な治療法が長く使用されてきました。
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TARPEYO/Kineygoは、主に高リスク患者において、一般的なコルチコステロイドに優先して使用される可能性が高いと思われます。
Bergerはどのような治療上のギャップを埋めるのか?
IgA腎症はまれな進行性の腎障害であり、透析または腎移植を必要とする末期腎疾患に至る可能性があります。一般的にIgA腎症は進行が緩徐であるため、治療では主として症状を管理し、腎不全への進行を最大限に抑え、さまざまな側面からの支援的ケアにより患者の生活の質を改善することが目的とされています。臨床医は、これらの目的をすべて考慮に入れた(すなわち、タンパク質レベルを低下させ、腎機能を改善させることで生活の質を向上させる)より包括的なアプローチを求めています。このため、腎機能を保護する、すなわちGFRの進行性低下を遅らせることのできる有効で安全かつ忍容性が良好な薬剤が必要とされています。従来のコルチコステロイドよりも有効性および安全性の高いBudesonideは、医師に有用な代替選択肢を提供する可能性が高いと考えられます。
ブロックバスターとなるために超えるべきハードルは?
特に腎臓病専門医は、有効性の有意な改善が示されない限り高額な治療薬を処方することに消極的であるため、極めて高価格なTARPEYO/Kinpeygoはその使用が制限される可能性があります。さらに、IgA腎症を特異的に治療する承認済み製品が競合品となる可能性があり、他にもいくつかの薬剤が後期開発段階にあることから、市場競争が激しくなる可能性があります。
$0.73B
95%
医薬品のタイムラインと開発成功確率


出典:Cortellis Competitive Intelligence、医薬品タイムライン と開発成功確率予測日 2023年11月3日