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女性の健康:軽視から世界的な投資優先事項へ

何十年もの間、女性の健康は資金不足と研究不足に悩まされてきました。世界人口の半分を占めるにもかかわらず、片頭痛や自己免疫疾患、精神疾患など、女性に多く見られる病状は、その負荷に比べて研究資金が十分に投入されてきませんでした。また、心血管疾患などでも、男性を中心とした研究が長年続いてきたため、女性はしばしば悪い結果に直面してきました。しかし、最近ではこの状況が変わり始めています。こうした格差への認識が高まり、より包括的な研究の推進や投資の拡大、女性の健康をニッチな課題ではなく基本的な優先事項と位置付ける政策の動きが世界的に広がっています。

女性の健康の定義の拡大

現在、「女性の健康」は従来の生殖や婦人科の問題だけでなく、女性に特有もしくは深刻に影響を及ぼす自己免疫疾患なども含まれるようになっています。米国のWomen’s Health Initiative(WHI)や英国のMillion Women Studyのような長期研究により、ホルモンやライフステージの変化が病気に与える役割が解明され、女性により適した公平な医療の基盤が築かれつつあります。

規制による公平性の推進

過去30年で、規制の枠組みは臨床研究や医薬品開発における性差・ジェンダーの重要性をより認識するようになりました。米国では1993年のNIH活性化法が、連邦資金による臨床試験への女性の参加を初めて義務付けました。ヨーロッパ医薬品庁(EMA)や英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)などの機関も、研究における女性の代表性やホルモン・生殖要因の安全性評価への考慮を推進しています。これらの変化は、女性の健康を規制や研究の優先事項により深く組み込むための大きな進展となっています。

女性の健康分野における先駆的な治療と知見

更年期障害、子宮内膜症、生殖健康に関する新たな治療法の承認は、イノベーションの広がりを示しています。卵巣加齢やエストロゲンシグナル、早期閉経、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮内膜症など女性特有の疾患が、認知症や骨粗しょう症、心血管疾患など全身の健康に及ぼす影響も明らかになりつつあります。オルガノイドなどの前臨床モデルや膣マイクロバイオームの研究の進展も診断や新療法の加速につながっています。例えば中外製薬のAMY-109(子宮内膜症向け抗IL-8抗体)などが開発されており、卵巣機能延長やライフステージごとの介入にも新たな道が開かれています。

投資の勢い

2023年時点で女性の健康分野は世界の医療投資全体の15%(ベンチャーキャピタル)および5%(R&D資金)に過ぎませんが、資金調達は年々増加しています。バイオ医薬品企業は1999年以降、440億ドル以上を調達してきました。初期投資は主に生殖医療や不妊症、妊娠関連障害に向けられていましたが、近年は子宮内膜症や更年期ケアなど未充足ニーズの高い分野へとシフトしています。これらの分野の推定年間市場規模はそれぞれ1,800億~2,200億ドル(子宮内膜症)、1,200億~2,300億ドル(更年期障害)にのぼります。非営利団体も資金ギャップ解消に貢献しており、ゲイツ財団は2030年までに25億ドル、Pivotal-Wellcome Leapパートナーシップは1億ドルを女性の健康R&Dに投じる計画です。

注目すべき企業

規制や投資の優先順位が変化する中、女性の健康という広範なテーマを把握するのは困難ですが、研究ギャップや苦痛を伴う疾患に取り組む大小の企業が次々と新たな治療法を開発しており、その背後には投資家やパートナー、研究機関のエコシステムがあります。クラリベイトのアナリストは、取引価値、臨床試験、特許、市場承認のデータをもとに、注目すべき7社を選出しました。

  • Daré Bioscience(米・サンディエゴ)避妊、性の健康、骨盤痛、不妊症、感染症、膣の健康、更年期障害など未充足ニーズに対し、科学的根拠に基づく革新的なソリューションへのアクセスを提供。
  • Freya™ Biosciences(デンマーク・コペンハーゲン/米・ボストン)マルチオミクスデータサイエンスプラットフォーム「DYSCOVER™」を活用し、女性生殖器疾患の慢性炎症に対処する微生物免疫療法を開発。
  • Gesynta Pharmaスウェーデン・ストックホルム)子宮内膜症を含む慢性炎症と痛みに対応する非ホルモン・非オピオイド・疾患修飾薬候補「vipoglanstat」を主力に開発。
  • Granata Bio Corporation(米・ボストン)治療選択肢の拡大とアクセス・コスト改善を目指し、不妊治療の開発と加速に注力。
  • Hope Medicine(中国本土)内分泌、心血管、代謝性疾患の未充足ニーズに応えるパイプライン構築。女性の健康に特に注力。
  • Oxolife(スペイン・バルセロナ)女性の健康と生殖能力の向上に取り組み、胚移植の成功率向上や代謝健康の改善、排卵の回復、流産率の低減を目指すプログラムを展開。
  • Reunion Neurosciences(米・ニュージャージー州モリスタウン)中等度から重度の産後うつ病(PPD)や適応障害(AjD)など、十分な治療が行き届いていない精神疾患向けにサイケデリック由来の治療薬を開発。

急拡大する女性の健康市場

  • 製薬・バイオテク企業が更年期、生殖医療、慢性疾患などの市場性と臨床的重要性を認識し、取引や投資が活発化。
  • これまで見過ごされてきた子宮内膜症、子宮筋腫、更年期症状などに対応する非ホルモン系・標的型新薬の開発パイプラインも拡大。
  • 世界各国の規制当局が女性の参加や性差研究を強化し、エビデンスギャップ解消とイノベーション促進を後押し。

女性の健康分野で登場しているイノベーションや、未来を形作る7社の詳細は、最新レポート「Women’s Health Companies to Watch」でご覧いただけます。

 

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