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2026年に向けたブランド戦略について世界の商標出願動向が示すこと

2026年に向けたブランド戦略について世界の商標出願動向が示すこと

SAEGISのデータを用いて出願人国籍の変化やブランド保護の今後の方向性を分析すると、世界の商標動向における顕著な変化が見えてきます。2025年が終わろうとする今、出願の主体・地域や、国境を越えた商標保護のあり方の進化に、有意な変化が表れています。データは複雑かつ繊細な状況を物語ると同時に、2026年に向けてブランド所有者が戦略をどう調整すべきかについての初期シグナルを発しています。

このブログでは、商標出願に関する3つの重要なインサイトと、2026年の戦略を策定する知財チームへの示唆について考察します。

  1. 出願人国籍が変化し、新たな出願集中地域を生み出している

最新データから浮かび上がる注目すべき傾向の一つとして、主要な商標庁間での出願人国籍の再分配が挙げられます。いくつかの管轄区域では、主要な出願国に明確な変化が見られ、ブランドの国際展開が予想外のかたちに進化していることが示唆されています。
多くの地域では、米国と欧州からの出願が引き続き堅調である一方、いくつかのアジア市場では、特定の国際分類で際立った成長が見られました。以下に例を挙げます。

  • 中国本土は、依然として世界の商標出願の流れを主導しており、2024年には国外から17万4,610件の出願を受理し、国外に対して35万484件の出願を行いました。これは世界最多であり、主な出願先としては米国、英国、欧州連合知的財産庁(EUIPO)が浮上しています。
  • 日本は、アジア太平洋地域における勢力図の変化を象徴しており、2024年には国外から2万6,442件の出願を受理し、国外に対して4万7,309件の出願を行いました。主要な出願元・出願先は中国本土と米国です。
  • オーストラリアでは、国外からの出願が24%急増し、2万936件に達しました。これは、主に中国と米国の出願人によるものです。
  • EUIPOでは、アラブ首長国連邦からの出願が前年比55%増加し、日本や韓国を上回りました。これにより、中東ブランド所有者の国際的なプレゼンス拡大が浮き彫りになりました。

上記管轄区域における最も活発な出願国の変化は、次のことを示しています。

  • テクノロジー、医薬品、消費財、AI関連サービスなどの分野で競争が再燃していること
  • 製品展開に先立つ早期市場テストが行われていること
  • ブランド所有者が高成長地域における先行者利益の確保を重視していること

知財専門家にとっては、このような変化を注視することがますます重要になってきます。出願人国籍が多様化するにつれ、商標クリアランスやリスク評価には、複数管轄区域にまたがる、よりグローバルな視点が必要になるでしょう。

  1. 主要な商標庁において国内外の出願動向が変化している

最新データからは、主要な商標庁のいくつかにおいて、国内からの出願と国外からの出願とのバランスに有意な変化が生じていることも読み取れます。国内からの出願が横ばい、ないし減少している一方で、国外からの出願が増加しているケースもあれば、逆に、国内からの出願が活発化しているケースもあります。後者は次のような状況を示唆しています。

  • 地域のイノベーションエコシステムが強化されつつある
  • 規制の明確化により、国内企業が早期のブランド保護を正式に行いやすくなっている
  • 中小企業の出願戦略が洗練されてきた

こうした動きは、いくつかの登録件数の多い国において、次のように明確に表れています。

  • インドは、依然として世界有数の国内主導型市場であり、2024年の53万7,000件を超える出願のうち、95%が国内の出願人によるものでした。外国出願人によるものは2万3,192件にとどまっており、インドの商標庁での出願動向は国内需要が圧倒的に主導していることがわかります。
  • カナダの商標登録は国外主導の傾向が強まっており、カナダ知的財産庁(CIPO)では国外から4万5,516件の出願がなされました。これは、カナダのブランド所有者が国外に出願した件数の2倍以上に相当します。
  • 英国では、依然として国外からの出願件数(5万2,977)と国外への出願件数(5万9,909)がほぼ同じであり、このバランスの良さが同国の安定性を裏付けています。

商標出願の動向」レポートでは、米国、中国本土、インド、英国など、主要10管轄区域における商標動向を包括的に分析しています。商標のトレンドをより深く理解するには、レポート全文をご覧ください

  1. 国境を越えた出願動向は集中化しつつある

SAEGISデータからもう一つわかるのは、国境を越えた出願動向が集中化しつつあることです。出願人は国際的な出願を続けていますが、保護の取り組みを多くの国に広げるのではなく、厳選した管轄区域に集中させようとしています。この変化の具体例を以下に挙げます。

  • EUIPOは、国境を越えた保護の主要集約点としての役割を維持しており、2024年には14万9,000件超の出願を受理しました。EU域外で出願数上位を占めたのは、中国本土と米国でした。EUIPOの単一出願モデルにより、ブランドは27の市場にわたる保護を効率化でき、同庁の中核的出願拠点としての地位は一層強固なものになっています。
  • 代理人選択の偏りからも、集中化の傾向が読み取れます。日本と韓国の出願人は、ドイツの代理人事務所を好んで利用するため、限られた数の仲介者を通じて大量の出願が流れ込む「国境を越えたチャネル」が形成されています。
  • カナダのブランド所有者も、国境を越えた出願において選択的な行動を示しています。同国は国外から4万5,516件の出願を受理した一方、国外への出願ははるかに少なく、主に米国、世界知的所有権機関(WIPO)、EUIPOといったごく少数の主要管轄区域に集中していました。こうした動きは、広範な国への展開よりも、特定の地域に軸足を置く集中型の戦略を反映したものです。

国境を越えた出願の集中化に向けた動きと関連して、次のような新たな動向が観察されています。

  • 予算圧力が要因と見られる、より選択的なポートフォリオ管理
  • ターゲットをより絞り込んだ市場参入戦略
  • 「保護必須」市場を特定するための分析機能への依存度の高まり
  • 競争環境が急速に変化する中での、ポートフォリオ過剰拡大を避けたいという意向

このような国境を越えた出願の集中化は、2026年に向けて、ブランドが従来の広範な出願アプローチから脱却し、商標保護の対象を収益、投資家の関心、長期的成長に最も影響を与えうる管轄区域に絞り込んでいくことを示唆しています。

2026年の知財戦略にとっての意味

選択的なポートフォリオ管理、ターゲットを絞った市場参入、分析に基づく市場の優先順位付けへの移行を総合すると、国際的な商標権確保に向けたより規律あるアプローチが見えてきます。本分析で明らかになったトレンドは、知財チームが2026年に検討すべき以下のような戦略上の調整点を示唆しています。

  • データを活用して、特に重要な管轄区域を優先すること
    国境を越えた出願の集中化が示唆するのは、チームは分析機能を活用することで、影響力の大きい市場を特定し、ポートフォリオの過剰拡大を避けるべきということです。
  • 出願人国籍の変化を踏まえてクリアランス戦略を策定すること
    出願人のプロファイルが変化するため、主要な商標庁における新たな競争要因をリスク評価に組み込まなければなりません。
  • 優先市場における競合他社の動向をより厳密にモニタリングすること
    特定の管轄区域における国内外からの出願の増加は、その管轄区域でブランド所有者がより大きな障害に直面しうること、そして早期のモニタリングが有利に働くことを示しています。
  • 出願動向の変化に応じて出願計画をより頻繁に調整すること
    出願人国籍や出願動向は管轄区域ごとにさまざまなスピードで変化するため、年度途中でも新たな状況に合わせて年次計画の調整が必要になる場合があります。

世界の商標出願動向が変化し続ける中、エビデンスに基づく戦略の設計と実行には、信頼できる最新データと、それを実用化するツールの利用が不可欠です。

クラリベイトによる商標ポートフォリオ戦略の支援

SAEGISプラットフォームは、世界の出願動向、出願人国籍、国境を越えた活動を比類のないレベルで可視化します。キュレーション済みの商標データ、ウォッチツール、迅速性と正確性を追及した分析機能により、知財チームはより的確な出願判断を行い、新たな市場動向に対応した戦略を策定できます。

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