知財の観点から見る気候変動イノベーション

英語原文サイト

本記事は英文ブログを日本語に翻訳再編集(一部追記を含む)したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

このブログでは、企業の特許から見えてくる、気候変動を変えるイノベーションの優れた事例をご紹介します。

2022年の夏は、世界中で未曾有の熱波、致命的な洪水、深刻な干ばつが発生し、気候変動が現実のものとなり、このままでは近いうちに世界の広い範囲に劇的な影響を及ぼすことが改めて証明されています。

クラリベイトは、サステナビリティ目標の一環として、2024年までにカーボンニュートラルに移行することを掲げています。世界中のイノベーターが、交通、建物、エネルギー、食物連鎖など、幅広い技術や経済分野において、人類の二酸化炭素排出量を削減するための魅力的なソリューションを開発していることを知り、とても喜ばしく思います。

交通、建物、エネルギー、食品など、私たちの環境を守るために企業がどのような革新を遂げているのか、ぜひご覧ください。

 

運輸と建築における気候変動対策

Teslaは、環境への影響以外の理由でも消費者が求めるより良い製品ほど、よりクリーンで持続可能なライフスタイルへの移行を推進できるものはないことを証明し、わずか10年余りで世界で最も価値のある企業のひとつとなりました。Teslaはまた、大胆なビジョン、綿密なエンジニアリング、そして世界トップクラスのブランド構築の総合力を証明する存在となっています。しかし、その領域は電気自動車(EV)にとどまりません。最近取得したTeslaのソーラールーフに関するUS 11258398などの特許は、垂直統合型のクリーンエネルギー企業になるというTeslaの長期目標を裏付けています

 

 

 

生活のあらゆる分野の電化を目指す動きは、海や空の旅といった脱炭素化が困難な分野にも及んでいます。Joby Aviationは、電動航空機のパイオニアであり、US patent 9694911は、彼らが提案するクリーンで自律的な空中移動ソリューションの中核技術を説明しています。

 

 

短距離飛行のための電気駆動は有望ですが、バッテリー駆動の航空機が今後数十年の間に長距離飛行を維持できる可能性は低いと思われます。エネルギー密度の点で、バッテリーが燃料と競合するのはまだ先の話でしょう。そこで、再生可能な資源から作られるサステイナブル航空燃料(SAF)が解決策となる可能性が高くなります。特に興味深いのは、製鉄所や埋立地から排出される炭素を、何兆個もの炭素を大量に消費する微生物に食べさせることで燃料化するというLanzaTech’のアプローチです。US 9738875のような特許の文言は、微生物学の上級学位を持っていないと難しいかもしれませんが、自然を利用して自然を癒すという可能性に目を見張るものがあるのは確かです。

 

 

エネルギーへの革新的なアプローチ

しかし、これらのクリーンで持続可能なエネルギー源は、季節や時間帯、天候によって変動する断続性が大きな課題となっています。

そのため、大規模なエネルギー貯蔵は、将来のクリーンなインフラの重要な要素になります。Energy Vaultが開発し、US patent 10788020で説明されている重力貯蔵は、電気エネルギーを位置エネルギーに変換し、必要なときに再び戻すように設計された革新的なアプローチの1つです。

 

 

金属製錬などの工業プロセスに熱を供給することは、脱炭素化が困難とされる主要な排出源となっています。Heliogenは、カメラが追跡する鏡のフィールドによって収集された集光型太陽エネルギーを、AI を使用して、1 日の毎秒最大の太陽光を捉えるために位置を最適化することを提案しています。US 11262103は、この技術を説明し可視化した様々な特許のうちの一つです。

 

 

温室効果ガス排出量と食品廃棄物への取り組み

人類への食料供給は、世界の温室効果ガス排出の25%以上を占めています。全食品の3分の1以上が廃棄されており、農産物の腐敗はこの問題の主な原因となっています。Apeel Sciencesは、より高品質で、より持続可能な、より長持ちする野菜や果物を実現することで、この問題に取り組むことを使命としています。自然界に存在する保存方法にヒントを得て、Apeel Sciencesは腐敗の速度を遅らせるよう設計された食用のコーティング剤を開発しました。初期の特許のひとつであるUS 9744542には、この保護溶液の塗布方法が記載されています。

 

 

廃棄物の問題に加え、人類の牛肉や乳製品への食欲は、食品部門からの温室効果ガス排出の最大の原因となっています。「代替タンパク質」企業の多くが、植物由来および細胞由来の食肉代替品を開発することで、この問題に対処しようとしています。UPSIDE Foodsはその一つで、同社の特許出願US 20210235733には、魅力的なバイオテクノロジーが記載されているだけでなく、屠殺不要の食肉の利点についても説明されています。

 

 

インサイトでイノベーションを推進する 

クラリベイトでは、世界のイノベーションを促進することを目的としており、サステナビリティはその使命の中心にあります。私たちは、イノベーター、特に上記の企業のように気候変動に関するイノベーションを推進する人々に、世界を変えながら自らの市場を成功に導くためのツールを提供することに情熱を注いでいます。

当社のお客様は、Derwent™、Darts-ip™、CompuMark™などの世界クラスのデータリソースを利用してイノベーションの状況を把握し、当社の知財管理システム(IPMS)を利用して自社のIPポートフォリオを開発・管理しています。これらのツールは、統合された知財管理システムとして、重要な意思決定を行うために必要なすべての情報をユーザーの手元に提供します。

 

 

効果的なIPマネジメントの鍵となる柔軟なワークフロー

洞察に満ちたレポートやダッシュボード、意思決定支援、豊富なデータソースとの統合に加えて、最も先進的なイノベーターがIPMSに求める1つの重要な属性は柔軟性であることを私たちは学びました。

これらの企業は、革新的な技術を開発する際に、全く新しいビジネスモデルを構築する必要があり、そのために独自の知的財産戦略が必要となります。このような企業は、従来の業界の慣習にとらわれず、自社のニーズに合わせて知的財産ワークフローを設計する自由を必要とします。また、知的財産を評価し、成功の指標を定義し、発明者と関わり、外部の弁護士と協働するかについても、新しい革新的な方法を選択することがよくあります。このような動きの速い企業は、反復、方向転換、成長、繁栄のステージに合わせてプロセスを調整することができ、機敏であることも必要です。

 

IPライフサイクルマネジメントへの統合的なアプローチと、独自の柔軟なワークフローについて詳しく知りたいかたはこちらからお問い合わせください。

 

この記事で表示される特許図面や画像は、すべて公文書から出典しています。