MaaS(Mobility as a Service)の最新研究をリードする国は?トヨタや日立の論文も
2019年11月
シニア・データコンサルタント 安藤 聡子
●● as a Service (XaaS)という表現を目にすることが増えた昨今、MaaS(Mobility as a Service)も例外ではありません。MaaSとは – いろいろな種類の交通サービスを、需要に応じて利用できる一つの移動サービスに統合する – と定義されています。しかし、研究者によっても定義が異なり、共通の定義がないというのも現状です。新聞等でもよくみられるようになったこの技術に関して、どの国や企業がリードし、世界ではどのような論文が注目されているでしょうか。
目次
MaaSの論文数の世界動向
MaaSの注目論文
MaaSの日本の注目企業
まとめ
MaaSの論文数の世界動向
MaaSの研究は2013年ころより上昇し始め、2015年から2018年にかけては急激に論文数が増えています(図1)。国別の傾向を見ると、やはり欧米中心に論文数が多く、日本は9位という順位になっています(図2)。
注:論文数は、Web of Science core collection収録のArticle,Review、Proceedings Paper (2019年8月現在)
MaaSの注目論文
「MaaS(Mobility as a Service)」で被引用数の多かった論文
2017年のMobility as a Service: A Critical Review of Definitions, Assessments of Schemes, and Key Challengesでした。この論文はオランダのナイメーヘン・ラドバウド大学のUrban Planning誌に発表された、様々なMaaSに関するレビュー論文です。レビュー論文とは特定のテーマに関する先行研究がまとまっている論文なので、まずはこちらの論文を読むと研究の全体像が把握できるかもしれません。また、「被引用数が多い」とは、そのあとに大きな影響を与えた論文といえるでしょう。この論文は、オープンアクセス論文として自由に全文を読むことができます。(全文を読む)
「MaaS(Mobility as a Service)」で最近180日の利用回数の多かった論文
最近約半年間で、Web of Science利用者(研究者)が注目した論文は2019年に発表されたばかりのスウェーデン チャルマース工科大学から発表されたPublic Management Review誌の Public-private innovation: barriers in the case of mobility as a service in West Swedenでした。被引用数はまだ5回ですがこのジャーナルはPublic Administration分野のジャーナルとして、そのジャーナルインパクトファクターがQ1と評価の高いジャーナルに発表されています。この論文もオープンアクセス論文として全文を読むことができます。(全文を読む)
MaaSの日本の注目企業
日本のMaaS論文はまだ7報と少ないですが、そのうちの3報は企業発の論文でした。各企業が出している論文や会議録を見るのも面白いかもしれません。
トヨタ自動車:Demand Responsive Mobility as a Service
2016 IEEE INTERNATIONAL CONFERENCE ON SYSTEMS, MAN, AND CYBERNETICS (SMC) : IEEE International Conference on Systems Man and Cybernetics Conference Proceedings p1741-1746(2016)
日立製作所:A schema matching approach for integrated mobility service
ELECTRONICS AND COMMUNICATIONS IN JAPAN V102 Number 9 p12-18 SEP 2019
豊田中央研究所:Cooperative Routing with Heterogeneous Vehicles
AAMAS ’19: PROCEEDINGS OF THE 18TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON AUTONOMOUS AGENTS AND MULTIAGENT SYSTEMS p2150-2152 ( 2019)
まとめ
欧米がリードするMaaSですが、論文情報も各国・各社の取組を知る出発点になるかもしれません。ぜひ、MaaS以外にも気になる●● as a Serviceや技術を文献データベースで探してみてください。思わぬ発見があるかもしれません。
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【データソース】 学術文献・引用索引データベース「Web of Science® Core Collection」
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