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英語論文アブストラクトの執筆が上手くなるには

  中山 裕木子 氏 株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役 公益社団法人日本技術英語協会 理事・専任講師   2021年秋になりました。大学や大学院の秋学期の開始を目前に備え、英語論文の執筆に挑戦したいと考えている学生の方々、そろそろデータをまとめなければと考えている研究者・教員の方々に、英語論文アブストラクト執筆にあたっての英語表現のコツをお伝えいたします。 私は、論文執筆のための伝わる英語の書き方の理系学生や研究者への指導に加えて、英語論文の校閲サービスも行ってきました。その中で、「日本人著者の書く英語の弱点はどこ?」と聞かれることがありました。 英語ネイティブやその他の伝わる英文を書くのが上手い著者はどのように表現しているのか。どうすれば伝わりやすい英文が書けるのか。抽出したのは、論文校閲を行うときに修正することが多い次の5点です。日本語と英語の言語の違いによって生じる不具合となります。   【日本人著者が陥りがちな5つのタブー】  主語が頭でっかちで、文構造が読み取りにくい  必要以上に客観的な表現  話し言葉のようにカジュアルな語り口調  名詞の単複と冠詞が不適切  著者の意見が適切に表せていない それぞれのブラッシュアップの例を挙げます。 1.  主語が頭でっかちで、文構造が読み取りにくい ×In this paper, a contact angle-dependent model to reproduce soil–water hysteresis behavior is proposed. (本論文では,土壌-水ヒステリシス挙動を再現するための接触角依存モデルを提案する。) →The paper presents a contact angle-dependent model to reproduce soil–water hysteresis behavior. 動詞が文の前半に来るように移動しました。無生物の主語The paperを活かしました。   2. 必要以上に客観的な表現 It […]

インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキング2021年版を発表

2021年4月19日 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社 クラリベイトは、高被引用論文数の分析による日本の研究機関ランキングを発表しました。本分析は、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)数をもとに、世界の中で日本が高い影響力を持っている研究分野において、国内で特に存在感のある研究機関を特定する試みです。 クラリベイトでは各研究分野における被引用数が世界の上位1%に入る、卓越した論文を高被引用論文と定義しています。高被引用論文は、影響力の強い研究者である高被引用論文著者の選定をはじめ、論文の卓越性を客観的にはかる指標として広く使用されています。 今回の分析で日本の高被引用論文の総数は、昨年と同様世界第12位でした。高被引用論文の割合は、昨年の0.89%から0.93%と上昇しています。 分野別では、10位以内が昨年と比べて3分野減り4分野(化学、物理、材料科学、植物動物学)になりました。 日本国内で総合分野ランキングのトップ20の内訳は、昨年同様に大学が14、研究開発法人が6となりました。 これらの研究機関の全てにおいて、その高被引用論文の割合は、日本全体での平均0.93%を上回っています。特に国立がんセンターでは、その割合が3.2%を超え、昨年から大きく順位をあげています。全般的に研究機関の高被引用論文の割合は高く、理化学研究所、物質・材料研究機構、高エネルギー加速器研究機構でも2%を超えており、インパクトの高い論文を多く輩出していることがわかります。 化学、物理、材料科学分野の上位10機関は総合でランクインした大学・研究機関で占められていますが、その研究志向の違いにより総合とは異なる順位でランクインしています。特徴があるのは植物・動物学と免疫学で植物・動物学は農研機構や岡山大学、奈良先端科学技術大学院大学などの存在感があることがわかります。免疫学では千葉大学、国立成育医療研究センター、東京医科歯科大学、広島大学、順天堂大学などがランクインしています。   「国内研究機関の総合分野トップ20」 日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が、世界順位で上位の分野から、日本の大学・研究機関を抽出しました。   「分野別トップ10」 ※ 自然科学研究機構は構成する5研究所の組織名を名寄せした集計値です。 ※ 情報・システム研究機構は構成する4研究所の組織名を名寄せした集計値です 科学技術振興機構は研究助成機関であることも鑑みランキングには入れてありませんが、各分野における高被引論文数と高被引用論文の割合は以下の通りです。 ※ 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)は戦略的に科学技術イノベーションの創出を推進するファンディングエージェンシーとしての事業内容を鑑みランキングには入れてありませんが、高被引論文数は531報、高被引用論文の割合は2.1%でした。   【本分析に使用したデータベース】 Essential Science Indicators™(以下ESI) 【高被引用論文(Highly Cited Papers)の定義】 ESIは、科学全体を大きく22の研究分野に分類しています。そして、それぞれの分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義しています。 引用は分野によって動向が異なること、一般的に論文発表から時間を経るほど多くなることを踏まえ、各年・分野別の高被引用論文を特定し、集計しています。 本分析は、ESIに収録されている世界の研究機関情報から、日本の各研究機関が上記条件でどれだけインパクトの高い論文を出しているかに注目しました。高被引用論文を多く輩出する研究機関は、比例してその分野で関心を集める傾向があります。そのため、これら相対的定量データは、世界的な学問・研究にどれだけ影響力を持っているか、その機関の世界での位置を示唆するひとつの有力な指標となります。   【データ対象期間】 2010年1月1日~2020年12月31日 (11年間) ESIの22分野分類の詳細と定義については、こちらをご覧ください。   【注意】 ESIでは、共著者の所属機関をすべて網羅し包括的に収録しています。第一著者、責任著者、その他の著者の区別なく整数カウントを行っているため、日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が順位に反映されます。   【Essential Science Indicatorsとは】 分析に用いたEssential Science Indicatorsは、学術論文の引用動向データを提供する統計データベースです。学術文献・引用索引データベース「Web of Science® Core Collection」の収録レコードをもとに、論文の被引用数から、世界のトップ1パーセントにランクされる研究者と研究機関の情報をそれぞれ収録しています。収録データは2か月ごとに更新されます。 Essential […]

伝わる英語論文タイトルとアブストラクトを書く Web of Scienceの収録論文を使って英語論文のコツを今年も伝授します

  中山 裕木子 氏 株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役 公益社団法人日本工業英語協会 理事・専任講師   新学期が近づいてきました。この春はin-person(対面)での授業が再開される大学が増えているようです。引き続きstay safe and healthyにて、日本の研究者のみなさまが効果的かつ効率的に英語を学ばれる機会が増えることを願っています。 さて、英語論文を多数の読者に届けるためには、「タイトル」と「アブストラクト」を効果的に書くことが重要です。タイトルには意図する読み手の検索にかかりやすいキーワードを含めます。そしてタイトルが例えばWeb of Scienceを使った検索にかかれば、次は「アブストラクト」を読んでみたいと思われるよう、端的に研究内容を表す必要があります。「アブストラクト」が読まれる機会を得たら、本文全体へと読み手を誘導するために、的確なストーリーにて読みやすくアブストラクトを構成する必要があります。研究の問題と目的を簡潔に記載し、実験について説明し、主な成果と主要な結論を示し、論文の要点と範囲が読み手にわかるようにアブストラクトを書きます。 そのような効果的な「タイトル」と「アブストラクト」を書くために役に立つ英語表現のコツがあります。 本ブログでは、まず「タイトル」の英語表現のコツを一部抜粋してお伝えします。   タイトルのコツ1 前置詞を駆使して係りを明示する タイトルは「名詞」を羅列して構成します。そこで、名詞と他の単語との関係を表す役割を有する「前置詞」を上手く使えると便利です。   前置詞asを使って「~としての~」を端的に表しています。前置詞forを使って用途を端的に表しています。   前置詞withで「~を有する」を表しています。また、前置詞forで用途を表しています。   前置詞inで「~という(広がりをもった)場所における」を表しています。前置詞withで「~を使って」を表しています。   タイトルのコツ2 文法的に正しく冠詞を使う タイトルの「冠詞(theやa/an)」をどうすればよいか迷うことがあるでしょう。省いてしまったほうが良いのか。何か決まりごとはあるのか。Web of Scienceを使って検索した多くの論文タイトルには、冠詞が通常の文法通りに使用されています。そこで、タイトルでも冠詞を理由なく省くことなく、文法通りに使用することがおすすめです。ただ一つ、ルールが明記されているものに「タイトル冒頭のThe」があります。アメリカ化学会のスタイルガイド(The ACS Style Guide)には冒頭のtheを省いても良いことが書いてあります。(In most cases, omit “the” at the beginning of the title. The ACS Style Guide, 3rd edition)   必要な箇所に冠詞theを使用しています。 […]

「英語は3語で伝わります」×「Web of Science」コラボレーション企画

3語英語の著者が、伝わる英語論文を書くコツを Web of Scienceの収録論文を使って伝授します!   中山 裕木子 氏 株式会社ユー・イングリッシュ 代表取締役 公益社団法人日本工業英語協会 理事・専任講師      4月に英語論文の読み方のセミナーを担当させていただきました。  あれから半年、コロナ禍での不安は消えませんが、with Coronaでmove forward(前に進もう)としている方が増えているのではないでしょうか。  海外での国際学会へ出かけることが難しい研究者の方々も、将来の研究生活に不安を感じている理系学生の皆様も、自分の研究を「書いて伝える」ことは、ますます重要になってくるでしょう。少なくとも、英語論文アブストラクトの書き方を早期に習得しましょう。    さて、まずはアブストラクトの「書き出し」をどうするか、です。  前回、英語論文の読み方セミナーでもお伝えしたとおり、アブストラクトは通常1つのパラグラフからなり、論文全体の要点と論文がカバーする技術範囲を示します(アメリカ化学会のスタイルガイドより)。そして、原著論文のアブストラクトは、大きく3つの内容から構成されます。 1. 研究の背景・解決したい問題 2. 問題を解決する方法・何を行ったか 3. 得られた知見・推論  この中の1. 研究の背景・解決したい問題 を書くにあたって、読みやすい英文で簡潔に書き出したいものです。    それでは早速ですが、アブストラクトの第1文目として、次の内容を書いてみましょう。 環境分野の「バイオマスから燃料や材料を生産する技術」に関する論文アブストラクトを書きます。   英作課題①エネルギーコストが増加し、環境への懸念が高まる中、持続可能な再生可能燃料や化学物質の必要性に注目が集まっている。    英語が苦手、という方は、Google翻訳やDeepLといった機械翻訳を使ってもかまいません。例えば次のように翻訳できるかもしれません。 With increasing energy costs and environmental concerns, the need for sustainable, renewable fuels and chemicals is gaining attention.(DeepLを使いました(2020年8月)) […]

クラリベイト、最新のWeb of Science Journal Citation Reportsをリリース

クラリベイト、最新のWeb of Science Journal Citation Reportsをリリース ~今世界で最も影響力のあるジャーナルが明らかに~ 2020年版はあらたにオープンアクセス、自己引用データを追加、 研究コミュニティの確実な意思決定のサポートに貢献   2020年6月30日 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社     【2020年6月29日、ロンドン(イギリス)およびフィラデルフィア(アメリカ)】— イノベーションのスピードをより加速させる信頼性の高い知見と分析を提供する、世界的リーディングカンパニーであるClarivate Plc(NYSE:CCC)は、Web of Science Journal Citation Reports™(JCR)の2020年版を発表しました。 この2020年度版では、最新版のジャーナル・インパクトファクター(JIF) 2019をご参照いただけます。また多様な指標、データ、可視化機能により、世界の高品質なジャーナルのパフォーマンスを理解することができます。 JCRは、査読付きジャーナルの評価において世界で最も影響力があり信頼性の高いリソースです。世界の出版社においてジャーナルのインパクトを評価しており、研究コミュニティへの周知に広く使用されています。   JCRは、どの出版社とも利害関係のない中立な立場で作成されている、世界最大のグローバルな引用索引データベースであるWeb of Science Core Collection™のデータに基づき、作成されています。   Web of Science Core Collection™のデータは、クラリベイトのグローバルな専門家チームによって体系化されているだけでなく、ジャーナルのパフォーマンスを正確に評価するために、ジャーナル、書籍、会議録などの評価、選択を継続的に行っています。ここからの知見により、研究者や出版社、編集者、図書館員、資金提供機関が、ジャーナル・インパクトファクターをはじめとするJCRが提供するデータや指標を幅広く活用し、多岐にわたる説明相手ごとにジャーナルの価値基準に照らし合わせて適切な調査を行うことが可能になります。   2020年版JCRの主なハイライト: 収録対象ジャーナルについて: 5大陸83カ国から12,000誌以上のジャーナルを収録 完全なオープンアクセス誌  1,600誌以上 新規追加ジャーナル 351誌(うち178誌がオープンアクセスジャーナル) 科学・社会科学分野の236の研究カテゴリー   オープンアクセスに関する新たなデータを追加: 各ジャーナルの論文をアクセスモデル別に表示。 このデータにより、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとで自由に閲覧・再利用できるように出版された論文(ゴールドオープンアクセス)が、ジャーナルの全体的なコンテンツ量と被引用数にどの程度貢献しているかについて、透明性のある出版社中立の情報を研究コミュニティに提供可能になりました。 JCRに収録されている 7,487誌のハイブリッドジャーナルについては、利用者は以下の情報を迅速かつ容易に識別することができるようになりました。 –  従来の購読モデルで発行された論文数 –  クリエイティブ・コモンズ・ライセンスで発行された論文数 […]

国別、機関別で見るノーベル賞後のiPS細胞研究動向

国別、機関別で見るノーベル賞後のiPS細胞研究動向   2020年4月  シニアプロダクト・コンサルタント 安藤 聡子   iPS細胞に関する国別の日本の論文数はアメリカに次いで二位であり、多くの論文発表を行っている有力な研究機関もアメリカ、中国についで三位と世界の中でも大きな存在感を示している。日本の論文全体の伸びが約1.1倍にとどまっているのに比較すると、8年間で2倍以上の論文発表は、日本の学術研究の中で、iPS細胞研究がより活発に行われていることを表しているとも言える。   目次 世界のiPS細胞に関する論文数の推移 国別の論文数から見るiPS細胞研究動向 iPS細胞で存在感を示す研究機関 まとめ   世界のiPS細胞に関する論文数の推移 iPS細胞の作成は、2006年にCell誌に発表された。この論文は直後から注目を集め、iPS細胞研究は2012年のノーベル医学生理学賞を受賞している。ノーベル賞後も研究は活発に行われ、2012年からの8年間で発表された論文は延べ約11,000報 に達している(図1)。この8年間で、iPS細胞研究について1年間で発表される論文数は987報(2012年)から1,834報(2019年)と倍増しており、世界全体の同期間の論文数の伸びが1.3倍であることを考えると、この伸びは、iPS細胞研究への世界の注目度の高さを表すものと言えるだろう。   国別の論文数から見るiPS細胞の研究動向 iPS細胞研究について2012年から2019年に発表された国毎の論文数を見てみよう。世界90か国以上の国と地域からの研究発表があるが、上位10か国が関与している論文だけで、全体の約86%を占めていた。その中でも米国の存在感は突出しているものの、日本は続いて二位につけている(図2)。 さらに国別の論文数の伸び率に注目すると、米国が2012年に対する2019年の論文数が1.56倍に対して、日本は2.09倍となっていた。これは日本全体の論文の伸び1.1倍の二倍近い値で、過去8年間の日本の学術コミュニティのiPS細胞研究への注目度の高さと期待の大きさが見て取れる。   iPS細胞研究で存在感を示す研究機関 特定のトピックの研究動向を把握する際には、最先端の研究をリードできる研究機関数も重要であろう。この観点から見ると同期間で50報以上論文を発表している研究機関は世界全体で145機関あった。この145機関を国別に見てみると、米国が55とやはり突出しており、中国の16、ドイツ、日本の15と続く(図3)。加えて、これらの研究機関の中でも存在感の大きい世界の研究をリードしている200以上論文発表していたのは13機関。内訳は米国が7機関と、ここでも大きな存在感を示すが、日本は4機関(京都大学、東京大学、大阪大学、慶應義塾大学)とアメリカに次いでおり、他にはフランス、中国からそれぞれ1機関となっていた(表1)。   表1 iPS細胞に関する論文を200報以上発表した研究機関 (2012-2019) 2020年3月現在   なお、研究動向を考えるときに、「実用化の段階」の一つの考え方として企業からの研究論文数の動向は一つの指標となる。この観点で見ると2012年の30報から2019年は76報と2.5倍になっていた。論文数はまだまだ少ないが、産業界からの期待がうかがえる。日本の企業からも製薬企業だけでなく味の素や日立製作所などからも論文発表があった。   まとめ 山中教授がノーベル賞受賞された2012年から2019年までの8年間におけるiPS細胞の研究動向について、国別、研究機関別の観点から見てみた。日本の研究について見ると、総論文数などの観点からはどうしても海外に比べ伸びが小さいが、iPS細胞研究については世界全体の伸びを超えた論文発表がされていた。機関別で見ると、京都大学は論文数およびインパクトの高い高被引用論文数ともにハーバード大学に次いで世界第二位として最近でも高い存在感を示していた。 ※日本経済新聞朝刊(2020年4月20日)9面で 「iPS研究 日本健闘」が取り上げられています。論文データはクラリベイトのWeb of Science core collectionのデータを使っています。   記事中のCell誌の論文は以下より読めます。 Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors KazutoshiTakahashi,ShinyaYamanaka (Cell, Vol.126, […]

英語論文を読もうーシンプルに英語を読み解くコツを「英語は3語で伝わります」の著者が伝授します!

英語論文を読もう―シンプルに英語を読み解くコツを「英語は3語で伝わります」の著者が伝授します!   2020年3月   春がやってくるのが待ち遠しい今日この頃です。 「コロナのために学校が閉鎖になった。」 Coronavirus fears have caused school closures. 「コロナウイルスのために多くの店でマスクや衛生グッズが品薄になっている。」 Coronavirus fears have caused many stores to run low on masks and sanitation products. といった英文を目にしながら、春を待っているひとも多いのではないでしょうか。 そんな中ではありますが、4月になったら「英語論文を読もう!」と心に決めている研究者・エンジニアのみなさま。 また、「こんな時こそ勉強、英語論文を読みなさい!」と指導教官から指示されている学生のみなさま。 今日は「タイトル」と「アブストラクト」を素早く読み解いて、自分の読みたい英語論文を見つける方法をお伝えします。   Let’s try! データベースWeb of Scienceでタイトル検索をして、多くの文献で引用されている論文を検索。 結果をさらに狭めて、特に高い引用を集めている論文(=高被引用文献)を入手します。 Web of Scienceを使って論文を探す(製品ログイン) 本日の検索キーワードはAlzheimer’s diseaseとしました。 タイトルがどんどん検索結果に表れます。   アルツハイマー病:遺伝子、タンパク質、治療法   前からそのまま読める平易なタイトル。 真ん中あたりの英語の記号「:」はコロンといいます。 コロンは「大から詳へコロンだ」と覚えると良いのですが、大まかなことを言ってから、詳細を説明します。 サブタイトルを付けるときに使われます。   もう少しタイトルが詳しいものも、見てみましょう。 画像化する(Imaging) アルツハイマー病の(Alzheimer’s […]

Highly Cited Researchers(高被引用論文著者)2019 影響力のある注目研究者6,000名を発表。日本のHCRは昨年の13位から11位に上昇

Highly Cited Researchers(高被引用論文著者)2019 影響力のある注目研究者6,000名を発表。日本のHCRは昨年の13位から11位に上昇 2019年12月  シニアデータコンサルタント 安藤 聡子   クラリベイト・アナリティクスでは2014年から毎年、インパクトの高い、トップ1%の高被引用論文を多く発表した研究者をHighly Cited Researchers(高被引用論文著者 HCR)として発表しています。引用は世界中の学術コミュニティのピアレビューとも考えられますので、学術コミュニティが選んだ6,000人ともいえるでしょう。日本からは今年、100人が選ばれました。これは世界11位の人数です。2019年の6,000人のリストの中にはノーベル賞受賞者24人が含まれています。日本にゆかりのあるノーベル賞受賞者としては2012年に受賞した山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長、1987年に受賞した利根川進マサチューセッツ工科大学教授が含まれています。   目次 Highly Cited Researchers(HCR)とは? Highly Cited Researchers(HCR)の世界動向 日本のHighly Cited Researchers(HCR)について まとめ   Highly Cited Researchers(HCR)とは? クラリベイト・アナリティクスでは科学を大きく21の分野に分け、それぞれの分野で高被引用論文を発表した研究者を表彰しています。複数の領域にまたがって研究している研究者については、2018年以降「Cross-Field」という分野を設けてより科学コミュニティの動きを反映できるようにしています。クラリベイト・アナリティクスでは各種の分析を行っておりますが、HCRは最近11年分の高被引用論文に注目し、最近の影響力のある研究者を見つける試みです。2019年は2008-2018年の高被引用論文から、60か国の6,000人強を選出しました。この中には24人のノーベル賞受賞者、57人のクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞の受賞者が含まれています。日本全体では世界で11位であり、昨年の13位から上昇しています。   Highly Cited Researchers(HCR)の世界動向 Highly Cited Researchers(HCR)の所属は世界60か国に及びますが、上位10か国に約85%の研究者が集中しています。特に米国には40%を超えるHCRが所属しています。続いて、新興著しい中国が英国を抜いて本年初めて2位になりました。トップ10に入る国では、現在の形式で発表を開始した2014年以来、中国とオーストラリアの伸びが著しいです。 単独の研究機関として、もっとも多くのHCRを有しているのは、2018年に引き続きハーバード大学で、200人を超えるHCRが所属しています。トップ3のスタンフォード大学、中国科学院は単独で100人以上のHCRを有しています。   日本のHighly Cited Researchers(HCR)について 日本で最も多くのHCRを輩出している分野は植物・動物学。免疫学、物理学、化学がそれに続きました。所属機関では東京大学、物質・材料研究機構、京都大学、理化学研究所など、全体で39機関となっています。日本のHCRの人数は全体では昨年より増えました。 また、企業に所属するHCRの方もいらっしゃいます。日本からは以下の2社の研究者の方がHCRを受賞しています。 株式会社ノベルクリスタルテクノロジー ヤクルト 中央研究所 お二人ともCross-Field分野で受賞されています。株式会社ノベルクリスタルテクノロジーの受賞者は代表取締役社長の倉又朗人(Akito Kuramata)氏です。倉又氏は研究者の査読・論文プロファイルツールのPublonsでも、研究成果の一覧を公表されています(倉又氏のPublonsをみる)。190の論文が計5,942回引用されていることがわかります(2019年11月現在)。各論文へのリンクも貼られていますので、世界のトップ研究者の研究成果を是非ご覧ください。   まとめ 2014年以来、クラリベイト・アナリティクスではHighly Cited Researchers(HCR)の発表を継続的に行っています。国ごとでみると単年では増減がありますが、概ね増加傾向にあります。本日は簡単な内容をご紹介いたしましたが、選出方法や2014年以降のリストは、こちらのサイトにご紹介しておりますのでご一読ください。 https://recognition.webofsciencegroup.com/awards/highly-cited/2019/     ­­【データソース】 […]

クラリベイト・アナリティクス、2019年の引用栄誉賞を発表

クラリベイト・アナリティクス、2019年の引用栄誉賞を発表 7か国から新たに19名に引用栄誉賞を授与。 現在までに50名の引用栄誉賞受賞者がノーベル賞を受賞。 そのうち29名は、引用栄誉賞から2年以内の受賞。   2019年9月25日(日本時間) クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社   Clarivate Analyticsの事業部門であるWeb of Science Groupは、本年度の引用栄誉賞(Citation Laureate)に選ばれた、世界7か国19名の世界的な研究者を発表しました。受賞者は皆、同事業部門のシンクタンクであるInstitute for Scientific Information(ISI)の分析によって、その研究成果が、「ノーベル賞クラス」と見なされる研究者です。ISIの分析は、引用索引データベースWeb of Scienceに収録された引用数が非常に多い論文を対象としています。ISIのアナリストは、2002年以来、毎年Web of Scienceのデータを活用し、ノーベル賞と同様に医学・生理学、物理学、化学、経済学分野において、影響力のある研究者を特定しています。1970年以降Web of Scienceに収録された約4,700万件の論文のうち、2,000回以上引用された論文は、わずか4,900件(0.01%)です。これらの論文の著者の中から、引用栄誉賞が選ばれます。これらの研究者の研究論文は頻繁に引用され、科学分野に極めて大きく貢献しており、時には社会に変革をもたらします。 2019年10月上旬、ノーベル委員会は学術分野最高の栄誉を授与するための投票を行います。世界中が注目するこの予測に、Web of Science Groupは定量的データに基づく分析と知見を提供しています。これまで、50人の引用栄誉賞受賞者がノーベル賞を受賞しました。そのうち29名は、引用栄誉賞の受賞から2年以内にノーベル賞を受賞しています。2,000回以上引用される論文はまれで、こうした論文の著者の中から、ノーベル賞の受賞者が出ています。 本年度の受賞者19名のうち10名は、北米の主要な学術機関を拠点としています。その他は、デンマーク、ドイツ、イスラエル、オランダ、イギリス、シンガポールの機関に所属しています。 2019年度の引用栄誉賞受賞者:   医学・生理学   Hans Clevers, Professor in Molecular Genetics at the UMC Utrecht and Utrecht University, the Netherlands; Principal Investigator at the Hubrecht Institute (KNAW) and […]

2025年の崖?デジタルトランスフォーメーションの最新の研究動向を確認して、貴社の備えの見直しをしませんか?

2025年の崖?デジタルトランスフォーメーションの最新の研究動向を確認して、貴社の備えの見直しをしませんか? 2019年12月 シニア・データコンサルタント 安藤 聡子   多くの企業が取り組んでいるデジタルトランスフォーメーション(DX)ですが、御社の進行状況はいかがでしょうか。 現行の基幹システムの老朽化やサポート等の終了が訪れる2025年は「2025年の壁」と言われており、システム部門を超えた全社的な取り組みが求められています。取り組みを具体化するための情報収集に役立つ、デジタルトランスフォーメーションの世界の研究動向や注目の論文についての情報を紹介します。   目次 「2025年の崖」とは? デジタルトランスフォーメーション(DX)の世界動向 デジタルトランスフォーメーション(DX)の注目論文 まとめ   「2025年の崖」とは? 「2025年の崖」とは、多くの企業が取り組むデジタルトランスフォーメーションに関連し、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムの対応に遅れた場合に想定される経済損失などを指します。その規模は膨大で、年間12兆円に達すると予測されています。この状況を回避すべく、2019年7月末に、経済産業省より「DX推進指標とそのガイダンス」が公表されています。   デジタルトランスフォーメーション(DX)の世界動向 「DX推進指標とそのガイダンス」の中では、「システム部門を超えた企業全体での取り組みが必要である」とのべられています。ではデジタルトランスフォーメーション(DX)について グローバルな研究論文の発表動向をみてみましょう。 「Digital Transformation」で英語の研究論文を検索してみると、過去3年間で急激に論文数が伸びていました。現時点(2019年11月)では、2019年のデータはまだ収録途中ですが、すでに2018年の延べ論文数に迫る勢いです。最終的には2018年の論文数を大きく上回ると予想されます(図1)。 なお、論文数が増えはじめた2015から2019年について国別の状況を見ると、ドイツ、ロシア、米国などからの論文が多いです(図2)。研究機関までみてみると別で過去5年間(2015-2019年)では、ミュンヘン大学(ドイツ)や、フラウンホーファー研究機構(ドイツ)が、最も多くの研究発表をしていました。日本からは、富士通が上位に入っています。富士通は企業としては世界でもトップの論文数となっています。(図3) デジタルトランスフォーメーション(DX)の注目論文 2019年の論文に注目してみると、もちろんコンピュータ科学といった科学技術分野の論文が最も多いのですが、経済、経営やビジネスといった社会科学に関する論文の割合が増えており、全体の約1/3を占めていました(図4)。 ここ半年の間に研究者の利用の多かった論文を二報ご紹介します(注1)。両方ともクリックすると出版社サイトで抄録を読むことができます。 ① The digital transformation of innovation and entrepreneurship: Progress, challenges and key themes 著者名: Nambisan, Satish; Wright, Mike; Feldman, Maryann(抄録をよむ) RESEARCH POLICY 巻: 48   号: 8   特別号: SI     記事番号: 103773   発行: […]