60周年記念:Derwent World Patents Indexの変遷を探る

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本記事は英文ブログを日本語に翻訳再編集したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

Derwent World Patents Index (DWPI) は、今年60周年を迎えます。このブログでは、Senior Director Principal AnalystEd Whiteが、DWPIが特許抄録のニュースレターから世界の特許制度の不可欠な一部へと発展してきたことを述べています。

知的財産業界で22年の経験を持つEd Whiteは、世界中の特許データから正しい洞察を得るための支援に従事してきました。また、イノベーション・エコシステムを分析する新しい手法を開発し、何百もの企業、機関、政府に対して技術データ調査のアドバイスを行ってきました。

現在もイノベーター、戦略家、知財専門家が、より多くの情報に基づいた意思決定を行うために特許データを活用するための新しい方法を模索し続けています。20年以上にわたってDerwent™と密接に協力してきたEd Whiteが、DWPIの進化について述べます。

 

基本的な質問から始めます。Derwent World Patents Index (DWPI)の起源は何でしょうか?

DWPI の起源は、1950年代のロンドンにさかのぼります。ダーウェントの創業者であるMontague (Monty) Hyamsは、雇用主の競合他社から出てくる特許を報告する仕事を任されていました。彼はすぐに、それがとてつもなく骨の折れる仕事であることを知りました。特許は短時間で読むのが非常に難しく、特許の山から関連情報を素早く見つけるのは困難でした。Montyは、どの特許が詳細に調査する価値があるかを判断するために必要な情報を雇用主に提供できるように、特許を短い要約にまとめ始めました。

同時に、英国で公開された特許がベルギーでも公開されていることを発見しました。 しかし、その特許が両国で共同出願されたものであれば、ベルギーで公開されるほうが6カ月も早かったのでした。
彼は月に一度、フェリーでベルギーの特許庁に行き、これらの要約を書き出しました。そうすることで、彼は、特許ファミリーの1つを読めば残りの特許がわかるというアイデアを生み出しました。

それから間もなく、Montyは自分の抄録を載せたニュースレターを書き始めました。数年のうちに購読者が増え、彼はフルタイムで仕事をするようになりました。そこからDerwentが誕生し、その名前は彼が働いていた自宅の場所の名前にちなんでつけられました。

 

DWPIの由来を知ると、この名称は正しい呼び名ではないように思えます。Derwent World Patent Indexという名前で「Index(索引)」を強調していますが、「Abstract(抄録)」という言葉は使っていません。AbstractとIndexのどちらに価値があるのでしょうか?

Derwent World Patents Indexでは、「Index」という言葉はデータベースの同義語として使われています。しかし、DWPIを特許データベースと呼ぶのは控えめな表現です。なぜなら、それ以上のものだからです。DWPIは、いつ、どこで、どのように特許が取得されたかを記録した技術アイデアのデータベースです。何が発明されたのか、その発明はどのような用途に使われるのか、そして重要なのは、なぜ発明されたのか、それによってどのような利点があるのか、が分かることです。

定義をできるだけ少ない言葉にまとめると、DWPI は人間の発明による偉大なライブラリーだと言えるでしょう。

 

DWPIはその始まりから、非常に大きな進化を遂げてきました。この60年間で、DWPIはどのように変わったのでしょうか?

DWPIの最大の変化は、新しい発明が特許化される規模が大きくなり、ペースが非常に早くなったことです。現在、DWPIには毎年400万件近い発明が新たに加わっています。これは、設立当初に扱っていた件数の約1,000倍に相当します。もちろん、このような規模のデータを扱うことができるのは、自動化の進歩、驚異的な編集プロセス、そして多くの専門家や技術者の献身的な努力のおかげです。

大量のデータがあれば、大規模な統計分析を適用し、世界的なイノベーションのマクロトレンドを評価することができます。このようなトレンドが地理的に異なる地域でどのように進展しているかを見ることができるのです。当社のレポートである「Top 100 Global Innovators™」は、このような分析がどのような成果をもたらすかを示しています。

 

現在のDWPIでは、どのような独自の価値を提供しているのでしょうか?

何よりもまず、DWPIは発明ファミリーごとに特許を分類しているということです。これにより、レビューする書類の数が大幅に削減されます。第二に、DWPIのチームは各発明を読み、分析した後、標準化された言語を用いて明確かつ一貫した方法で要約します。これにより、クライアントは他の方法よりも多くの発明をレビューすることができ、キーワード検索を使用して関連する特許公報を検索することも容易になります。

特許調査担当者が特定の技術カテゴリーに関連する発明を素早く見つけられるよう、世界中の発明にインデックスを付けています。このインデックス作成は、業界のニーズやお客様からのフィードバックに基づいている点が特徴です。例えば、あるお客様が、特許がドラム式洗濯機に特有なのか縦型洗濯機に特有なのかを判断するために、手作業で画像を確認するのは時間がかかると話していたことを覚えています。そこで、この目的のために特定のカテゴリーを設けました。

そして最後に、データのクレンジングを行います。企業名のスペルミスから誤った分類コードまで、こうした小さなミスが大混乱を引き起こします。特許検索を行う際、調査担当者が関連する発明を見逃す原因となります。

例えば、国際特許分類(IPC)を使用する場合、G10とG01はよく誤入力されます。G10は楽器を指し、G01は計測機器に関連します。これらが混同された場合、当社のアルゴリズム・エンジンがエラーを発見し、誤分類のフラグをアナリストに送信して修正を依頼することができます。

DWPI の資料(英語)はこちらからダウンロードできますThe world’s patent data, curated and simplified

20年のキャリアの中で手がけたクライアントのプロジェクトをいくつか教えてください。

私は、データストレージとしてのDNA配列のような、画期的なイノベーションを模索するプロジェクトに惹かれます。

しかし、私たちの仕事が与える影響も興味深いものです。 たとえば、私たちはある消費財会社のテクノロジー調査を実施しましたが、その結果は驚くべき結果になりました。 お客様は、特定のプロセスを改善できる学術パートナーを クラリベイトに特定してもらいたいと考えていました。 しかし代わりに、DWPI を使用することで、お客様が計画していたことをすでに実行している米国の中小企業を発見することができました。 半年後、調査の前にはその存在を知らなかったお客様がその小さな会社を買収したことをニュースで見ました。

また、政府とも協力して、特許データと分析に基づく科学・産業政策の立案と評価を支援しています。私たちはDWPIを利用して、自国の経済において、研究の強みがあり、より多くの資金を提供するべき分野を調査しました。

結局のところ、これらの実例は、科学者やエンジニアのコミュニティがすでに集合知として知っていることを、顧客が発見するのをどのように支援するかという点を軸にしています。DWPIがなければ、このような知識は、個人の段階的な改善レベルで深く断片化されているため、隠されたままになってしまうのです。

Derwentのケーススタディー(英語)はこちらEstablishing a new IP strategic planning group

 

現在、40の特許庁がDerwent World Patents Indexを利用しています。DWPIは、どのようにしてこれほど多くの特許庁に利用されているのですか?

特許庁がDWPIを使用する理由は、当社のすべてのお客様と同じです。理由は、その明瞭さです。DWPIは、生の特許データだけを見ている場合よりも、より多くのレコードをより正確に呼び出します。当社のパテントアナリストは、発明の核となる特徴を抽出し、それを要約することに長けています。

DWPIは、まさにグローバルな特許システムの仕組みの一部になっています。DWPIによって、特許庁は、ほぼすべての技術革新に、同じ言語、管理された用語で、グローバルにアクセスすることができます。DWPIにより、審査官は、より関連性の高い先行技術をより迅速に見つけることができます。これにより、特許の新規性についてより的確な判断を下し、より多くの出願を審査することができます。ある意味、DWPIなしでは特許庁の業務は難しいと言えるかもしれません。

 

DWPIは今後どのように進化していくと思いますか?DWPIに未開拓の領域はありますか?

AIと言語モデリングが進歩すれば、特定のテクノロジーがどのように進化しそうかについて、新しいタイプの予測分析を行うことができるようになるでしょう。このようなAIの可能性はすべて、過去60年間にDWPIを作り上げてきた何千人もの技術者たちが、数え切れないほどの時間をかけて人間の知性と専門知識を獲得してきたからこそ、利用できるものです。

 

DWPIについて、最後に伝えたいことはありますか?

DWPIが60周年を迎えたことは、大変喜ばしいことです。DWPIは、特許抄録のニュースレターから、世界的な特許システムの不可欠な部分へと発展してきました。これは、私たちの製品の革新性だけでなく、お客様のおかげでもあります。

2023年の現在でも、1950年代や1960年代にMonty Hyamsのニュースレターを購読していたお客様がいます。彼らはクラリベイトにとって大切なパートナーです。私たちがお客様をサポートしてきたように、お客様も私たちをサポートしてくれたのです。60歳を迎えたDWPIは、私たちが何をすべきかを導いてくれるスタッフやお客様の努力の賜物です。

DWPIは、お客様がグローバルなイノベーション環境をナビゲートするお手伝いをします。詳しくは、Celebrating 60 years of DWPIをご覧ください。

Derwent World Patents Indexについてはこちらへお問い合わせください。