データへの投資を増やし、価値を高める

データへの投資を増やし、価値を高める

2019年10月31日
著者:ロバート・レディング(Robert Reading)
CompuMarkプロフェッショナルサービス・戦略担当ディレクター

有名シェフに最高の料理のコツを聞いてみてください。おそらく、「最高の素材」という答えが返ってくることでしょう。それは、商標調査でも同じです。
信頼性の高いソースデータがなければ、商標専門家が重要な意思決定に使えるような調査結果を得ることはできません。そのため、CompuMarkは正確かつ完全で信頼性の高いコンテンツライブラリを構築するべく、大量の時間とリソースを投資しています。

 

拡大するデータの世界

CompuMarkのコンテンツライブラリは非常に広い範囲をカバーしており、内容も豊富で、継続的に情報が増えています。これは、200を超える法域における90年分以上の記録を含む世界規模のライブラリであり、お馴染みの名称から地域の小規模事業者まで、あらゆる種類のブランドに関する情報が記載されています。各地の言語、文化、商標のニュアンスに通じた専門化陣から成る世界的なネットワークに支えられ、CompuMarkの専任品質チームがこのライブラリを管理しています。

近年、世界中の商標データを管理することは、その範囲の広さや煩雑さから劇的に難しくなっています。Eコマース、モバイル通信、ソーシャルメディアの登場により、デジタルコンテンツが爆発的に増加しました。2020年までに、世界のデジタルデータ量は44兆ゼタバイト規模に到達することが予想されています*。

CompuMarkが持つ独自の商標ライブラリにも、この拡大は反映されています。2018年、弊社のデータベースに1,100万件近くの新規商標の記録が加わり、4,000万件以上の記録が更新・改善されました。弊社のデータベースは、今後数十億件規模にまで拡大するでしょう。CompuMarkには、その対策ができています。

 

品質の高いコンテンツのための投資

数年前、CompuMarkはブランド関連のデジタルコンテンツが爆発的に増加している兆候を確認しました。その状況に備えるため、着実に人材、ツール、プロセスに投資してきました。

さまざまな課題の中でも、世界中のあらゆる法域で、商標の記録の精度や一貫性を確保することが最も重要になります。商標データの品質や利用できる度合いは、国によって異なります。一部の法域では、商標の記録を電子データで取得することができません。データの表記方法、各記録の詳細さ、商標審査や登録手続に要する時間も大幅に異なります。こうした問題の根底に、言語、アルファベットやそれ以外の文字の違いがあることは言うまでもありません。

さらに、商標の記録内にエラーがあることも珍しくありません。実際、CompuMarkは、米国特許商標庁(USPTO)の記録の平均7%、欧州連合知的財産庁(EUIPO)の記録の平均4%に、修正が必要なエラーが含まれていることを発見しています。

 

エラーの発見と修正

CompuMarkは、お客様に有用な商標情報を提供するため、すべての記録が正確かつ完全で一貫性が確保されるように、データ品質チェックと改善作業を行っています。

CompuMarkの品質エキスパートが、弊社の独自データベースにエントリーする前に公式記録を確認します。スペルミス、未入力または不完全なエントリー、データミス、分類上の食い違いなどのエラーや不一致を探し出します。発見されたエラーは、品質チームがデータパートナーや商標局とも直接的に協力して解消します。

CompuMarkの品質チームによる商標記録の修正例をご覧ください。

 

修正前:「LOC FROST, Dessin Et Slogan」
修正後:「LOCFROST for an undisturbed sleep」
修正前:「Watermark Design」
修正後:「Watermark Building Solutions LTD.」
修正前:「M」
修正後:「The mark consists of the letter “M” adjacent to two perpendicular lines.」(2本の垂直線に隣接した「M」の文字から成る商標)

 

上記のようなエラーは、商標検索や監視で深刻な問題を発生させる可能性があります。たとえば、関連する商標にスペルミスや入力ミス、あるいは分類にミスがあれば、クエリを実行しても見落とされる可能性があります。データベースに記録をエントリーする前にエラーを発見し修正しておくことで、該当する結果の見落しを防ぐことができます。

 

調査結果を向上させるための改善

検索結果や監視結果の精度と完全性を向上させるため、CompuMarkのデータ品質チームは弊社の独自データベースに情報の改善もしています。商標に関する弊社の深い知識と経験に基づき、品質エキスパートが相互参照情報やインデックスを追加することで、関連する商標を見落とすリスクをさらに軽減しています。以下の例をご覧ください。

  • スペル:COLOR / COLOUR、REALIZE / REALISE
  • スペルのバリエーション:QUICK / KWIK、TRUE / TRU、WONDERFUL / ONDERFUL、LOVELY / LUVLI
  • 数字による文字の代用:SK8 / SK8TER、FOR / 4、TO / 2
  • 同音異語または省略形:BARBECUE、BARBEQUE、BBQ
  • 省略表現:YOU / U、YOU ARE / UR、LOL、LMK
  • スペース使用のバリエーション:CALLEDIT / CALLED IT / CALL EDIT

CompuMarkが取り扱う記録の約30%に、こうした補足情報が追加されています。つまり、このような相互参照を行わない調査プロバイダーは、関連する結果を見落とす可能性があるということです。そのようなミスを許容できるでしょうか?

 

絶え間ない変化に対処する

世界情勢と同様、商標情勢も常に変化しています。CompuMarkは事前にこの問題に対処し、変化に後れを取ることなく、お客様が重要な結果を見逃すことがないように、継続的にデータベースを更新しています。以下はCompuMarkが最近、データ関連で直面した問題のほんの一部です。

  • イギリスのEU離脱 — イギリスがEUを離脱すると、120万件近くのEUの商標記録と、ほぼ同数の国際登録意匠や登録共同体意匠が、一夜にしてイギリスの商標登録に加わることになります。これは新しい公式の番号が振られた数百万件の記録を処理するという、非常に大規模なコンテンツ更新プロジェクトになります。さらに厄介なことに、この作業をいつ実施する必要があるのか(あるいはそもそも必要があるのか)について、現時点で厳密に予測することができません。
  • カナダ — カナダが「標章の国際登録に関するマドリッド協定」に加盟した際、シームレスな情報提供を確保するために、ニース国際分類や有効期間の変更(10年)などの大幅な書式変更が発生しました。
  • 欧州連合知的財産庁(EUIPO)の書式の変更 — 2018年の終わりに、商標法の改正を受け、EUIPOは商標記録の書式を変更しました。それに付随して、2019年~2020年にかけ、全26か所の各国EUIPO事務局も同様の対応を行うことになります。
  • 中国の記録が、区分ごとに個別の記録を作成する単一区分形式に変わりました。中国の商標登録簿は他国の10倍規模の世界第1位であるため、大量の記録が更新されることになります。

商標情勢は拡大と進化を続けるでしょう。しかしCompuMarkは90年以上の経験や商標専門知識に加えて、データ品質、コンテンツ管理、最先端の自動化テクノロジーに大幅な投資を行うことで、この先浮上するあらゆる課題に対処できるように備えています。

CompuMarkのお客様にとってみれば、それはつまり複雑な世界でも信頼がおけるということを意味しています。

 

*出典:https://www.weforum.org/agenda/2019/04/how-much-data-is-generated-each-day-cf4bddf29f/

 

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