鷹野 芳樹

IP グループ
シニアサーチアナリスト

大学では物性物理を専攻し、分子性導体に関する物質について研究。博士号を取得後、大学にてポスドクを5年ほど経験。友人が特許業界にいたことや、研究者を何らかの形でサポートできる仕事をやってみたいと思い、特許調査を行っていたNTS(ニッポンテクニカルサービス)へ2008年に入社。それ以降IPグループの特許調査に携わり、現在はシニアサーチアナリストとしてチームをリードしている。

 

研究者から民間企業に入社したことで感じたこと

研究者から民間企業に入社する際の懸念は色々ありましたが、特に、研究機関で働いている間は免除されていた奨学金の返済を開始しなくてはならなくなり、経済的な負担が増えたことが一番ツラかったです(笑)。また、30代になってから企業に就職したのですが、この年で会社に入ることはあらゆる点でチャレンジングだな、と感じました。2011年にNTSがトムソン・ロイター・プロフェッショナルに買収され、当時はずいぶんと働きやすい環境に変わったなという印象を持ったことを覚えています。独自のデータベースを持っており、自由に情報を扱えるようになったことも大きな違いでした。クラリベイトとして独立したことによる変化は、知的財産情報と学術情報に特化した会社になったことで、より業務内容がフォーカスされ注力すべきところが分かりやすくなったと感じています。

 

職務内容

お客様は企業の知財事業部や研究開発部、大学などです。お客様が新しく製品を開発したい、他社の特許がどうなっているか知りたい、という内容の相談を受けてプロジェクトがスタートします。営業と一緒にお客様の話や悩みを聞いて、解決したいことを探り出しながら、どういう調査を実施するのか決定します。その後はデータベースで特許や論文を検索して、ひたすらそれらを読み込んで分析する作業に入ります。最後に報告書に取りまとめて、お客様へ報告会をしています。繁忙期の時期には人にもよりますが、2~3のプロジェクトをかけ持っています。

 

仕事のやりがいを感じるとき

一人で特許や論文を読んでいてもそんなに面白くはないですが、最終的な成果物が出来上がってお客様のところで報告会を開いて、お客様に喜んでいただいたり、「ありがとう」とお礼を言われたりする時に、やりがいや役に立っている、という実感が持てます。ですので、そこのゴールを想像して、日々の仕事に取り組んでいます。

 

印象に残っているエピソード

3年くらい前に実施したJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)のプロジェクトでは、JST主催の研究会にてプレゼンを行う機会があり、海外のトップ研究者もいる中で弊社の分析結果を発表したのですが、それが死ぬほどツラかったです。プロジェクトのテーマも難しい上に、もちろん英語で、そして、実際に分析をした中でキーパーソンとして浮かび上がってきた海外のトップ研究者を目の前にして発表を行う必要があり、その人たちから突っ込まれながら質疑応答までやり遂げたという事が自分の中では一番インパクトのある出来事として印象に残っています。ちなみにそのプロジェクトは「インパクト」という名前でした。

 

ワークライフバランスについて

クラリベイトはフレックスや在宅勤務制度もあるし有給日数も多いので、結構ワークライフバランスは良い会社だと思っています。在宅勤務もストレスなく出来てます。走ることが趣味ですが、コロナ禍でジムにも行けず、マラソン大会も軒並み中止されているので、最近は娘に懇願されて飼い始めたチワワの散歩がもっぱらの楽しみです。走れるようになったら、また皇居の周りを走ったり、東京マラソンにも参加したいです。

 

クラリベイトのここが良い/ここがこうなったらもっと良いというところ

良いところはどんどん会社が変わっているところです。考え方次第ですが変化を楽しめるどうかだと思っています。買収や独立は大変なことで、最初は戸惑いもありましたが変わることが刺激になって、より良い方向へ変わっていけるんだと思えるようになりました。一方で、こうなったら良いということは、個人的な課題かもしれないですが、会社の方針や、現在何が起きているのか、これから会社が何をやろうとしているのかをもっと把握できるようになると良いかなと感じています。

 

今後やりたいと、目指していること

今取り組んでいる事は機械学習で、将来的にはデータ分析手法を開発していきたいと思います。特許分析は大変なので、お客様はクラリベイトに依頼して下さるのですが、もっと簡単にできる分析手法を開発して、研究機関で使っていただけるようなプログラムを組めればと考えています。自分たちがやっていることは最終的には世の中を良くすることに役立っていると信じていますし、特許分析を通じて、お客様の問題を解決することで、より良い住みやすい社会を実現する手助けをできたらと思っています。