筑波大学とトムソン・ロイターが分野別の大学評価指標の確立に向けた共同研究を実施

筑波大学とトムソン・ロイターが分野別の大学評価指標の確立に向けた共同研究を実施

~ 体育・スポーツ科学分野における新たな指標とその結果を発表 ~

 

2015年11月吉日
クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社
国立大学法人 筑波大学

 

国立大学法人筑波大学(所在地:茨城県つくば市、学長:永田恭介)と、世界的な情報サービス企業であるトムソン・ロイター(本社:米国ニューヨーク、日本オフィス:東京都港区、IP&Science ビジネス日本代表:長尾正樹)は、体育・スポーツ科学分野における新たな評価軸の開発を目的に共同研究を行い、世界各国の体育・スポーツ科学分野の単科大学および体育・スポーツ科学分野の教育研究部門を有する大学に、新たな指標を適用した結果を発表しました。

 
本共同研究の結果の詳細は筑波大学のホームページ(英語ページ)において公開されています。
WORLD UNIVERSITY COMPARISONS IN SPORT SCIENCE, PHYSICAL EDUCATION AND KINESILOGY
 
本共同研究において、トムソン・ロイターはデータおよびテクニカルサポートの提供を行い、筑波大学と共に各大学の教育・研究・競技の3カテゴリーにおける活動の卓越性を分析しました。その結果、各カテゴリーにおいては7大学が、また3大学について総合的な卓越性が認められました。

 

表1 体育・スポーツ科学分野で世界的に卓越した大学

カテゴリー 大学
教育 Loughborough University (UK)
National Taiwan Normal University (Taiwan)
University of Porto (Portugal)
University of Tsukuba (Japan)
研究 Loughborough University (UK)
University of Calgary (Canada)
競技 Auckland University of Technology (New Zealand)
University of Calgary (Canada)
University of Porto (Portugal)
University of Tsukuba (Japan)
Waseda University (Japan)
総合性 Loughborough University (UK)
University of Calgary (Canada)
University of Tsukuba (Japan)

(いずれもアルファベット順)

  • 本共同研究の背景・目的
    さまざまな機関より世界大学ランキングが発表されていますが、これらのほとんどは、大学で行われる多岐にわたる活動を1つの評価軸で一元的に評価するもので、必ずしも各大学の強みや特徴を表すものにはなっていませんでした。また、評価項目や方法が実施機関ごとに異なっています。
    筑波大学では、分野別の評価指標の設定とそれによる評価の実施を提案しており、その第1弾として、トムソン・ロイターからデータおよびテクニカルサポートを受け、体育・スポーツ科学分野に特化した世界の大学の活動の分析を試みました。
  • 評価方法
    <データ収集>
    平成27年1月~6月にわたり、世界各国の体育・スポーツ科学分野の単科大学および体育・スポーツ科学分野の教育研究部門を有する98大学にアンケート調査を実施し、19大学より回答を得ました(表2)。これらの大学を対象に分析を行いました。また、アンケート調査に加えて、トムソン・ロイターが保有するWeb of Science Core Collectionおよびレピュテーション調査からもデータを収集しました。

 
 
表2 参加大学

地域 国名 大学名
北米 米国 Texas State University
University of Minnesota
カナダ McGill University
University of Calgary
ヨーロッパ 英国 Loughborough University
イタリア University of Bologna
ポルトガル University of Lisbon
University of Porto
スペイン University of Europea, Madrid
リトアニア Lithuanian Sports University
ハンガリー University of Physical Education
アジア 日本 筑波大学
早稲田大学
鹿屋体育大学
韓国 Seoul National University
台湾 National Taiwan Normal University
オセアニア オーストラリア The University of Sydney
Victoria University
ニュージーランド Auckland University of Technology

【評価指標】
まず、「教育」「研究」「競技」の3カテゴリーについて、表3に示す全35項目の評価指標を設定し、それぞれの指標について「Low」「Mid」「High」の3段階による重み付けを行いました。
次に、指標ごとに収集したデータについて順位を基に得点化し、これに重み付けをかけて、カテゴリーごとに合計点を算出しました。さらに、「教育」35%、「研究」50%、「競技」15%の比率で総合性を評価する得点を算出しました。
各カテゴリーおよび総合性について、獲得しうる最大得点の70%以上を獲得した大学を各観点での「体育・スポーツ科学分野で世界的に卓越した大学」(表1)と判定しました。
 
 
表3 評価指標と重みづけ(※以外は全て体育・スポーツ科学の教育研究部門を対象とした値)

カテゴリー(評価比率) 評価指標 重み付け
教育
(35%)
機会 ① 学生数に対する教員数の比率 Mid
② 奨学金を受けている学生の数 Low
③ 奨学金を受けている学生数の全学生数に対する比率 Low
成果 ① 博士号授与の数 High
② 就職率 Low
多様性 ① 授与している博士号の種類 Mid
② 開設している授業の数 Mid
国際性 ① 留学生の数 Low
② 留学生数の全学生数に対する比率 Low
③ 外国人教員の数 Low
④ 外国人教員数の全教員数に対する比率 Low
研究
(50%)
機会 ① 研究資金の総額 Mid
② 教員1人当たりの研究資金の額 Mid
成果・影響力 ① 国際的受賞の数 Low
② 教員1人当たりの国際的受賞数 Low
③ 「拡大スポーツ科学分野」での論文数※ Mid
④ 「拡大スポーツ科学分野」での引用数トップ10%の論文数※ Mid
⑤ 引用数トップ10%論文数の全論文数に対する比率※ Mid
⑥ 国際誌編集委員の数 Mid
⑦ 国際誌編集委員数の全教員数に対する比率 Mid
⑧ スポーツ科学分野における世界でのレピュテーション※ High
⑨ スポーツ科学分野における地域でのレピュテーション※ Mid
国際性 ① 「拡大スポーツ科学分野」での国際共著論文の数※ Low
② 国際共著論文数の全論文数に対する比率※ Low
③ 研究に関わる国際交流協定の締結数 Low
競技
(15%)
成果 ① オリンピック・パラリンピックでのメダル数 High
② 世界選手権(ワールドカップ)でのメダル数 High
③ 上記の世界主要大会での学生1000人当たりのメダル数 Mid
④ オリンピック・パラリンピックへの出場選手数 Mid
⑤ 世界選手権(ワールドカップ)への出場選手数 Mid
⑥ 上記の世界主要大会への学生1000人当たりの出場選手数 Mid
機会 ① 競技能力によって入学を許可された学生の数 Low
② 競技能力によって入学を許可された学生数の全学生数に対する比率 Low
③ 大学の運動部でスタッフを務める教員の数 Low
④ 大学の運動部でスタッフを務める教員数の全教員数に対する比率 Low

<今後の展開>
今後はより多くの参加大学を募り、指標の改善を図りながら定期的に分析の継続を行う予定です。

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本件問合せ先

国立大学法人 筑波大学
体育系長
中川 昭(ナカガワ アキラ)
TEL: 029-853-8034
E-mail : akiran@taiiku.tsukuba.ac.jp

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