在宅でのヘルスケア: 往診の復活

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本記事は英文ブログを日本語に翻訳再編集(一部追記を含む)したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

 

PARVATHY MENON
U.S. Market Access Analyst, Clarivate

 

クラリベイトのマーケットアクセス専門家であるParvathy Menonは次のように述べています。「医療提供のパラダイムシフトの中で、ペイヤーとプロバイダーは在宅医療に投資しています。」

 

1930年代の米国では、医師がドクターバッグを持って訪問する診療が40%を占めていました。しかし、第二次世界大戦後、医療技術が高度化し、近代的な病院や医療システムが出現したことで、医療提供は臨床現場に集中するようになりました。しかし、高齢化社会を迎えた現在、デジタル技術を駆使し、患者体験を重視することで、医療機関や医療費負担者は、自宅でのケアを提供するための機能の構築に投資しています。

このような変化は、ケア提供のパターンを複雑にし、医師のオフィスや病院が主なケアの場であることからの脱却を加速させる可能性があります。ライフサイエンス企業は、重要な意思決定の場面で患者や医師に自社製品の情報を提供しようとしていますが、こうした「重要な瞬間」とその情報提供の方法について再考しています。

 

企業のペイヤーとプロバイダーが在宅医療で提携し、コスト削減を実現

Centers for Medicare and Medicaid Servicesが在宅医療の適用範囲を拡大したことを受けて、Medicare Advantageプランを提供する民間保険会社は、以下のような提携や買収を通じて、在宅医療サービスの提供を強化しています。

  • UnitedHealthによるEncompass HealthおよびLandmark Healthとの提携
  • AetnaによるCareLinx、myNexus、Landmark Healthとの提携
  • CignaによるMonogram Healthとの提携
  • AnthemによるmyNexusの買収とHealおよびPapaとの提携
  • HumanaによるHealおよびDispatch Healthとの提携、ならびに4月のKindred at Homeの買収(Humanaは現在、在宅医療サービスをCenterWellという名称で再構築している)

 

大規模な病院や医療機関も、在宅医療サービスの拡充に取り組んでいる。例えば、KaiserとMayo Clinicは最近、急性期医療と回復期医療を家庭に提供するための合弁事業を発表し、Amedisysは小規模な在宅病院サービスであるContessa Healthを買収している。

 

慢性疾患のケアだけでなく、ホームヘルスのサービスも拡大中

ホームヘルスサービスは、当初、慢性疾患患者の日常的な在宅ケアに焦点を当てていましたが、それ以外にも広がりを見せています。Optum、Carecentrix、ebiCore、BriovaRxなど、多くのプロバイダーが自宅での輸液を提供しており、輸液は外来患者や外来診療所、小売店でも提供されるようになってきています。保険会社は、特殊な医薬品をこれらのサービスに振り向けたり、調達先を優先的な特殊薬局に限定したりすることで、患者体験を改善し、コスト削減を実現しようとしています。今年初めにCignaが輸液プロバイダーをCarecentrixからebiCoreに変更し、プロバイダーによる特殊な輸液の調達先をAccredoに限定したように、このような取り組みが行われています。

 

在宅医療と遠隔医療は並行して進化しており、その結果生じる混乱は薬剤師や医療技術者を含むすべての利害関係者に影響を与えるだろう

在宅医療が長期療養施設に取って代わることはないかもしれませんが、ベビーブーマーが60代、70代、80代となっていく中で、住居でのケアはケアの連続性の中で重要な役割を果たすようになっていくでしょう。遠隔医療サービスが急速に拡大し、遠隔監視技術やバーチャルケアプラットフォームが洗練されてきたことで、医療費支払者や医療提供者は、より多くのケアを自宅やオンラインで提供するようになってきています。

医療提供者や専門家にとっては、提供されるサービスの範囲やケアの提供方法に大きな変化がもたらされるでしょう。

ライフサイエンス企業は、最終的なエンドユーザーである患者さんがケアを受けたり治療を決定したりする際の、より多様で新しいルートを理解しなければなりません。患者さんが自分の状態や治療法について確実に情報を得るためには、製薬会社や医療技術者は、患者さんがどこで治療を受けているのか、プライマリケア医、専門医、その他の医療従事者がどのように組み合わされているのか、また、治療の変曲点においてどのような教材やその他のリソースが患者さんを最適にサポートできるのかを知る必要があります。

患者のケアが、完全な機能を備えたハイエンドの施設から、小規模な施設、在宅医療、遠隔医療へと移行していく中で、在宅医療のプロバイダーは、有機的に、また専門医療プロバイダーとの協力関係を通じて成長していくと思われます。IDN、病院、保険会社、医師グループは、遠隔モニタリングや在宅ケアの利用を拡大することで、医療格差の解消に適応していくでしょう。

 

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