インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関2022年版を発表

2022年4月18日 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社   クラリベイトは、高被引用論文数の分析による日本の研究機関を発表しました。本分析は、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)数をもとに、世界の中で日本が高い影響力を持っている研究分野において、国内で特に存在感のある研究機関を特定する試みです。 クラリベイトでは各研究分野における被引用数が世界の上位1%に入る、卓越した論文を高被引用論文と定義しています。高被引用論文は、影響力の強い研究者である高被引用論文著者の選定をはじめ、論文の卓越性を客観的にはかる指標として広く使用されています。   今回の分析で日本の高被引用論文の総数は、昨年と同様世界第12位でした。高被引用論文の割合は、昨年の0.93%から0.95%と上昇しています。 分野別では、5位以内が化学、物理の2分野、10位以内はさらに材料科学、植物動物学を加えた4分野でこれは昨年と同じです。   日本国内で総合分野のトップ20の内訳は、昨年、一昨年同様に大学が14、研究開発法人が6となりました。   これらの研究機関の全てにおいて、その高被引用論文の割合は、日本全体での平均0.95%を上回っています。日本では、全論文の0.95%が被引用数が上位1%の論文に該当しており、高被引用論文における日本のベースラインを表しています。全般的に研究機関の高被引用論文の割合が高い傾向は引き続き続いており、特に国立がんセンター、物質・材料研究機構は3%を超えています。その結果物質・材料研究機構は昨年より順位をあげ全体の6位となりました。理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構も2%を超えており、インパクトの高い論文を多く輩出していることがわかります。   分野別でみると、化学、物理、材料科学分野は、総合にランクインしている大学、研究機関がランクインしています。しかし化学は上位3機関が拮抗しているのに比較し、物理の1位の東京大学、材料科学分野の1位の物質・材料研究機構は当該分野の高被引用論文数で突出しています。また、各研究機関の特色により総合にははいっていない研究機関がランクインしています。例えば植物・動物学では奈良先端科学技術大学、免疫学では千葉大学、東京医科歯科大学、横浜市立大学の大学がランクインしています。また地球科学では海洋研究開発機構、気象研究所、宇宙航空研究開発機構といった研究機関や高知大学がランクインしています。   「国内研究機関の総合分野トップ20」   「分野別トップ10」 日本の研究機関が著者所属機関に含まれる高被引用論文の総計が、世界順位で上位の分野から、日本の大学・研究機関を抽出しました。               *大学共同利用機関法人 自然科学研究機構は構成する 5 つの基盤機関(国立天文台、核融合科学研究所、基礎生物学研究所、生理学研究所、分子科学研究所)の組織名を名寄せした集計値です。 *大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構は4つの研究所(国立極地研究所、国立情報学研究所、統計数理研究所、国立遺伝学研究所)の組織名を名寄せした集計値です。     科学技術振興機構は研究助成機関であることも鑑み対象には入れてありませんが、各分野におけ る高被引論文数と高被引用論文の割合は以下の通りです。高被引論文 数は 531 報、高被引用論文の割合は 2.1%でした。     【本分析に使用したデータベース】 Essential Science Indicators™(以下ESI) 【高被引用論文(Highly Cited Papers)の定義】 ESIは、科学全体を大きく22の研究分野に分類しています。そして、それぞれの分野において被引用数が上位1%の論文を高被引用論文(Highly Cited Papers)と定義しています。 引用は分野によって動向が異なること、一般的に論文発表から時間を経るほど多くなることを踏まえ、各年・分野別の高被引用論文を特定し、集計しています。 本分析は、ESIに収録されている世界の研究機関情報から、日本の各研究機関が上記条件でどれだけインパクトの高い論文を出しているかに注目しました。高被引用論文を多く輩出する研究機関は、比例してその分野で関心を集める傾向があります。そのため、これら相対的定量データは、世界的な学問・研究にどれだけ影響力を持っているか、その機関の世界での位置を示唆するひとつの有力な指標となります。   … Continue reading インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関2022年版を発表