Month: April 2020

国別、機関別で見るノーベル賞後のiPS細胞研究動向

国別、機関別で見るノーベル賞後のiPS細胞研究動向   2020年4月  シニアプロダクト・コンサルタント 安藤 聡子   iPS細胞に関する国別の日本の論文数はアメリカに次いで二位であり、多くの論文発表を行っている有力な研究機関もアメリカ、中国についで三位と世界の中でも大きな存在感を示している。日本の論文全体の伸びが約1.1倍にとどまっているのに比較すると、8年間で2倍以上の論文発表は、日本の学術研究の中で、iPS細胞研究がより活発に行われていることを表しているとも言える。   目次 世界のiPS細胞に関する論文数の推移 国別の論文数から見るiPS細胞研究動向 iPS細胞で存在感を示す研究機関 まとめ   世界のiPS細胞に関する論文数の推移 iPS細胞の作成は、2006年にCell誌に発表された。この論文は直後から注目を集め、iPS細胞研究は2012年のノーベル医学生理学賞を受賞している。ノーベル賞後も研究は活発に行われ、2012年からの8年間で発表された論文は延べ約11,000報 に達している(図1)。この8年間で、iPS細胞研究について1年間で発表される論文数は987報(2012年)から1,834報(2019年)と倍増しており、世界全体の同期間の論文数の伸びが1.3倍であることを考えると、この伸びは、iPS細胞研究への世界の注目度の高さを表すものと言えるだろう。   国別の論文数から見るiPS細胞の研究動向 iPS細胞研究について2012年から2019年に発表された国毎の論文数を見てみよう。世界90か国以上の国と地域からの研究発表があるが、上位10か国が関与している論文だけで、全体の約86%を占めていた。その中でも米国の存在感は突出しているものの、日本は続いて二位につけている(図2)。 さらに国別の論文数の伸び率に注目すると、米国が2012年に対する2019年の論文数が1.56倍に対して、日本は2.09倍となっていた。これは日本全体の論文の伸び1.1倍の二倍近い値で、過去8年間の日本の学術コミュニティのiPS細胞研究への注目度の高さと期待の大きさが見て取れる。   iPS細胞研究で存在感を示す研究機関 特定のトピックの研究動向を把握する際には、最先端の研究をリードできる研究機関数も重要であろう。この観点から見ると同期間で50報以上論文を発表している研究機関は世界全体で145機関あった。この145機関を国別に見てみると、米国が55とやはり突出しており、中国の16、ドイツ、日本の15と続く(図3)。加えて、これらの研究機関の中でも存在感の大きい世界の研究をリードしている200以上論文発表していたのは13機関。内訳は米国が7機関と、ここでも大きな存在感を示すが、日本は4機関(京都大学、東京大学、大阪大学、慶應義塾大学)とアメリカに次いでおり、他にはフランス、中国からそれぞれ1機関となっていた(表1)。   表1 iPS細胞に関する論文を200報以上発表した研究機関 (2012-2019) 2020年3月現在   なお、研究動向を考えるときに、「実用化の段階」の一つの考え方として企業からの研究論文数の動向は一つの指標となる。この観点で見ると2012年の30報から2019年は76報と2.5倍になっていた。論文数はまだまだ少ないが、産業界からの期待がうかがえる。日本の企業からも製薬企業だけでなく味の素や日立製作所などからも論文発表があった。   まとめ 山中教授がノーベル賞受賞された2012年から2019年までの8年間におけるiPS細胞の研究動向について、国別、研究機関別の観点から見てみた。日本の研究について見ると、総論文数などの観点からはどうしても海外に比べ伸びが小さいが、iPS細胞研究については世界全体の伸びを超えた論文発表がされていた。機関別で見ると、京都大学は論文数およびインパクトの高い高被引用論文数ともにハーバード大学に次いで世界第二位として最近でも高い存在感を示していた。 ※日本経済新聞朝刊(2020年4月20日)9面で 「iPS研究 日本健闘」が取り上げられています。論文データはクラリベイトのWeb of Science core collectionのデータを使っています。   記事中のCell誌の論文は以下より読めます。 Induction of Pluripotent Stem Cells from Mouse Embryonic and Adult Fibroblast Cultures by Defined Factors KazutoshiTakahashi,ShinyaYamanaka (Cell, Vol.126, […]

【新gTLD】ドメイン名優先登録受付情報(2020/04/16)

【新gTLD】「.compare」「.select」最新情報   《サンライズ登録対象TLD》 № TLD サンライズ 申請期間 ランドラッシュ 申請期間 一般登録 申請期間 プロバイダ ブロッキング 有無 1 .dealer 2020/03/25 | 2020/06/17 - 2020/06/24 Uniregistry – INC なし 2 .compare 2020/04/06 | 2020/05/01 - 2020/05/07 NeuStar, Inc. なし 3 .select 2020/04/06 | 2020/05/01 - 2020/05/07 NeuStar, Inc. なし   《ランドラッシュ登録対象TLD》 № TLD サンライズ 申請期間 ランドラッシュ 申請期間 一般登録 申請期間 […]

特許データから見る、インドのイノベーションの現在

  特許データから見る、インドのイノベーションの現在   2020年4月 グローバル企業の特許戦略上、重要なマーケットであるインドは、インド国内の組織・企業によって、イノベーションのトレンドに変化が起きています。 このたび、クラリベイトでは、インドでのイノベーションの現状に関するレポートを作成しました。レポートでは、Derwent Innovation™を用い、現地で出願された特許データを調査しています。 ダウンロードはこちら   全特許公報に対するインド優先の公報の割合は増加(2014年の23%から2018年の34%へ)し、年平均増加率(CAGR)は16%(2014年~2018年)に達しています。 インド優先特許の増加は、この国でイノベーティブなアイデアが増えており、インド国内の組織・企業などで特許権の意識が向上していることも示唆しています。   表 1. インド特許件数推移 (2014~2018年) 出典: Derwent Innovation. 近年のスマートフォンに関連するテクノロジーとその用途の急増により、通信分野が31%と最速で成長しています。これに続き、インド産業の重要な柱を形成し、経済に大きく貢献するコンピューティングと自動車と航空が続きます。機器・検査装置の年間成長率は堅実に推移しています。これは、エンジニアリング業界での検査・測定やヘルスケア分野での診断テストの重要性が高まっていることを示しています。   図2. 各技術分野における、インド優先特許件数の成長率 (2014~2018年) 出典: Derwent Innovation. 各技術分野の詳しい調査結果や、出願人について、レポート本文で詳細に解説しております。「The India Innovation Report」をダウンロードして、ご参照ください。(本文は英語になります。日本語によるレポート概要も同時に提供いたします。)  ダウンロードはこちら —————————————————————————————————————– -本件問い合わせ先- クラリベイト E-mail : Marketing.jp@clarivate.com

COVID-19との戦い:BIO Europe conferenceからのインサイト

ASMA AL-SHAMAHI Deputy Managing Editor, Cortellis Clarivate   英語原文 Cortellisチームは定期的にカンファレンスに参加し、ライフサイエンスの研究開発の現場で何が起きているのか、その概要や最新情報を提供しています。ここでは、春に開催された BIO Europe Conference の議事録の一部をご紹介します。   コロナウイルスCOVID-19(SARS-CoV-2)のパンデミックと世界的なロックダウンを受けて、14th Annual BIO-Europe Spring Partnering meetingは、ライフサイエンス分野で最大規模のバーチャルパートナーイベントとして装いを新たにしました。ライブパネルディスカッションでは、パンデミックが生み出した前例のない課題と、迅速なイノベーションとコラボレーションの必要性について、業界のリーダーたちがCOVID-19に対抗する診断薬や治療薬を開発するための戦略を共有しました。VP Infectious Diseases and Diagnostics Policy, BIOのフィリス・アーサー氏は、現在までに世界で86の薬剤がCOVID-19を対象に研究されており、中国ではHIVとエボラの治療薬、世界保健機関(WHO)と国立衛生研究所(NIH)が実施している試験を含め、世界各国で349の試験が開始されたことを報告しました。     Moderna 確立された成功した「rapid response platform」を使ったワクチンの開発に向けたModernaの取り組みについて、CEOのステファン・バンセルは次のように説明しました。新型コロナウイルスの遺伝子配列が発表された2日後、同社はNIHと協力してワクチン候補のmRNA-1273の配列を確定し、製造を開始しました。1月20日、同社はThe Coalition for Epidemic Preparedness Innovations(CEPI)に資金援助を求め、2月7日に臨床第1バッチの製造が完了し、2月21日にIND申請を行いました。3月16日には45人の被験者を対象に安全性と免疫原性を調査する第I相試験における最初の被験者への投与が行われました。Moderna社はリスクのある第Ⅱ相試験材料の作成を開始し、今春から第Ⅱ相試験を開始するためにFDAと協力しています。免疫原性が陽性になれば、医療従事者やその他のハイリスクの人々を守るために、2020年第3四半期にはワクチンを緊急使用することを目指しています。Moderna社は、2020年後半には第III相試験に進み、2021年のワクチンの市販化を視野に入れています。   免疫原性が陽性になれば、医療従事者やその他のハイリスクの人々を保護するために、今秋にワクチンの緊急使用を目指しています。   Janssen Janssen Pharmaceuticalのハンネケ・シューテマカー氏(Global Head, Viral Vaccine Discovery and Translational Medicine)は、中国で最初の症例が出始めて以来、同社も「厳戒態勢」で臨んでいると述べました。ヒトPER.C6細胞株とJanssen AdVおよびPER.C6技術プラットフォームを用いた組換えアデノウイルスベクターワクチンが開発されました。現在、前臨床免疫原性試験中であり、4月末までにリード候補の選定を予定しています。Janssenは、今年後半に開始予定の第I相試験に向けた臨床試験材料の製造を開始する予定です。並行して、COVID-19に対する安全性と十分な免疫原性を示す最初のエビデンスが得られた時点で、すぐに展開できるワクチンの備蓄を確保するため製造規模を拡大する予定です。     Regeneron […]

請求書の発行に関して

  感染症拡散防止対応に伴い、請求書は電子データにてお送りさせていただきます   2020年4月14日 弊社では、新型コロナウイルスの感染拡大が報道される中、2月初旬よりテレワークや時差出勤を推奨し、従業員とその家族の安全、取引先各所皆様の安全に配慮し対策を講じてまいりました。 東京都の外出自粛要請の発信を受け、弊社でも4月1日から全従業員を原則としてテレワークでの業務対応としておりましたが、この度の緊急事態宣言に伴い、当面この対応を継続いたします。 さて、これまでお客様への請求書は、紙の印刷物を送付しておりますが、この対応が難しい状況となってしまいました。 暫定的な対応といたしまして、特許関連(Derwent)、学術関連(Web of Science)、製薬業界関連(Cortellis等ライフサイエンスブランド群)の製品とサービスについて、請求書のpdfファイルをemailに添付してお送りさせていただくこととなりましたのでお知らせ申し上げます。     ※ お送りするpdfファイル形式の請求書が、弊社として発行する正式な請求書となります。別途紙の請求書を郵送することはございません。 ※ 予定されている日に請求書が届かない等、何か問題及びご不明点があれば、担当営業または下記の問い合わせ先まで、ご遠慮なくご連絡ください。     以上 —————————————————————————————————————–   -本件問い合わせ先- クラリベイト・ジャパン E-mail : RCS-Operation@clarivate.com

COVID-19パンデミック:欧州の規制当局における対応

MONIA TUMMINELLO Manager, Cortellis Regulatory Intelligence Clarivate   英語原文 COVID-19のパンデミックは、この記事を書いている時点で、世界で100万人以上、ヨーロッパだけで50万人以上の患者が発生しており、世界中に広がっています。ここでは、欧州医薬品庁(EMA)、欧州委員会(EC)、医薬品庁長(HMA)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)がこの前例のない公衆衛生上の危機にどのように対応しているかをまとめました。   連携の重要性 欧州委員会が「…COVID-19パンデミックの進化は、異なるタイミングで様々な深刻度をもって各国へ影響を与えている。多くの患者が高度に専門的なケアを必要としている。患者、特に重症患者の管理方法に関する実践的な経験は、ヨーロッパでは不足しており、散在している。一部の病院では経験と症例数が重要であるが、他の病院では複雑な患者を扱い始めたばかりである。COVID-19患者に適用されている具体的な技術や治療法は、多くの場合は実験的なものであり、この数週間と数ヶ月の間に新たに得られた知識にアクセスするには限界がある。」とコメントしました。 これを受けて欧州委員会(EC)は、欧州全域でコロナウイルス緊急事態に直面している病院の臨床医を支援することを目的に、「COVID-19 Clinical Management Support System1」を立ち上げました。この取り組みにより、加盟国がCOVID-19のリファレンスセンターとして指定した病院間の迅速な連携が可能となります。この相乗効果は、特定の治療法の採用を加速させ、ウイルスの未知の側面による不確実性を軽減することを目的としています。 ENCePPとEMAは、すべての研究者に対し、COVID-19パンデミックに関連する薬理疫学的研究をEU PAS Registerに登録することを強く奨励しています。また、研究者に対して、他の研究者による観察研究のデザインを容易にしてスピードアップするために、収集または収集予定のデータを記載した研究プロトコルをアップロードし、公開することが奨励されています。   さらに、EC共同研究センター(JRC)は、検査室においてコロナウイルス検査が正しく機能しているかをチェックし、偽陰性を避けるために使用可能な新しいコントロール試料を設計しました。最近のEUの調査では、コロナウイルス検査を確実に実施するために検査室が直面している課題のトップ3の1つとして、ポジティブコントロールの不足が挙げられています。JRCでは、このようなニーズに応えるため、検査室でのSARS-CoV-2検出の品質管理を容易にするためのポジティブコントロールを開発しました。この新しいコントロール試料は、EUのウイルス発生への対応能力を向上させ、非効率な検査による貴重な資源の浪費を回避する可能性を秘めています。ECが発表したInformation Note2では、主要なウイルス検査センターや病院を含むEU全域の検査施設に発送される3,000サンプルに関する情報が提供されています。このように、3,000サンプルの準備が整ったことで、EU全体で最大6,000万件の検査が可能になりました。   EC共同研究センター(JRC)は、コロナウイルス検査での偽陰性を回避するために使用できる新しいコントロール試料を設計しました。3,000サンプルの準備が整い、EU全体で6,000万件の検査をチェックすることが可能になりました。   ソーシャルメディア対公式メディア EMAは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARBまたはサルタン薬)などの一部の薬がコロナウイルス感染症(COVID-19)を悪化させる可能性があるとする最近の報道や論文を受けて、COVID-19パンデミックの間も高血圧、心臓病、腎臓病の治療薬の使用を継続するようアドバイスするプレスリリース3を発表しました。EMAは、COVID-19に関連してACE阻害薬やARBsによる治療が感染症を悪化させる可能性があるという憶測は、臨床的エビデンスに裏付けられていないことを確認しました。しかし、EMAは状況を注意深く監視し、関係者と協力してCOVID-19患者におけるACE阻害薬やARBsの影響に関する疫学研究を調整しています。   また、EMAは、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用がコロナウイルス病を悪化させる可能性がある問題が提起されたことを受けて、COVID-19に対する非ステロイド性抗炎症薬の使用に関するプレスリリース4を発表しました。EMAは、イブプロフェンとコロナウイルス症の悪化との関連性を立証する科学的エビデンスは現在のところないことを確認しました。 このプレスリリースでEMAは、2019年5月、フランス国立医薬品・健康製品安全庁(ANSM)の調査で、水痘(水痘)による感染症や一部の細菌感染症がこれらの薬によって悪化する可能性が示唆されたことを受けて、EMAの安全性委員会(PRAC)が非ステロイド性抗炎症薬イブプロフェンとケトプロフェンのレビューを開始したと説明しています。多くのNSAIDsの製品情報には、抗炎症作用によって感染症の悪化が隠されている可能性があるという警告がすでに記載されています。PRACは、追加措置が必要かどうかを確認するために、利用可能なすべてのデータを見直しています。   電子証明書:一時的なものか永続的なものか? EMAのプレスリリース5では、同庁が印刷された証明書を提供しなくなる方法を説明していますが、COVID-19パンデミック時にEMAがこれらの文書を提供するためには、電子的に署名され認証された証明書のみが印刷されます。証明書の新しいフォーマットは、電子署名されたPDF文書に基づいています。これには、署名者への固有リンクと文書の完全な信憑性と整合性を保証するeIDAS規則(規則(EU)No 910/2014)に完全に準拠した電子署名が含まれています。この新しいフォーマットは、現在進行中のすべてのリクエスト及び将来のリクエストに適用されます。同庁は、署名を必要とするすべての文書の管理プロセスをデジタル化する取り組みの一環として、電子署名を永続的なソリューションとして導入すべきかどうかを検討しています。   医療機器 本日現在、欧州委員会はコロナウイルスの発生に関連して、マスクなどの個人用保護具(PPE)や3Dプリントの生産拡大を支援するためのガイドラインを公開しています。最初のトピックについては、欧州委員会は、保護具の生産に関する製造業者の疑問に答えるための質疑応答文書6を発行しました。このガイドラインは、製造業者が新しい製品をEUへ輸入したり、マスク、手袋、手術衣などの保護具を製造するための新規施設を立ち上げたり既存施設を改修する前に、適用される法的・技術的要件を評価するのに役立つものです。 もう一つのガイダンス7 は、コロナウイルスの発生に関連して、3Dプリンティングや医療用3Dプリント製品の適合性評価手順に関するものです。この文書は、これらの製品に適用されるEUの法的枠組みを詳述する目的で、製造業者が適合製品をEU市場に投入するために適用できる技術基準の例を示しています。 ガイダンスで説明されているように、3Dプリンティング(3DP)とは、3Dプリンター(Additive Manufacturingの機器としても知られている)を使用して他の市場の製品を製造する製造プロセスのことです。3Dプリンターは、いわゆる「harmonized products」の一つで、EUのharmonized productsに関する特定の法律が制定されています。特に、3Dプリンターは、Machinery Directive 2006/42/ECの機械の定義に該当します。Machinery Directiveに加えて、他のEUの法律が3Dプリンターに適用される可能性があります。例えば、電磁適合性指令2014/30/EC、化学物質に関するEUの法律、WEEE 2012/19/EU, RoHS II 2011/65/EU Directive and Directive […]

新規活性物質(NAS)のEMAとFDAのレビュー結果は一致しているか?

英語原文   医薬品の安全性と有効性をより確実なものにするため、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、それぞれの活動と目標を一致させるための措置を講じています。Centre for Innovation in Regulatory Science(CIRS)とサノフィは、これまでの進捗状況を評価する研究で提携しています。   世界中の規制機関の共通の目標は、医薬品の安全性と有効性を監督することで、国民の健康と福祉を守ることです。同じデータが提供された場合、規制機関間で結果に大きな差は生じないことが合理的に予想されます。この点を考慮して、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、検査報告書や製品安全性情報の共有、並行して科学的アドバイスを提供するなど、いくつかの共同アプローチを実施することで、それぞれの活動と目標を一致させるための措置を講じてきました。 とはいえ、審査中の意思決定は依然としてEMAとFDAで独立して行われているため、結果を比較するさらなる研究により、2つの機関間で規制上の勧告が乖離している具体的な理由が明らかになる可能性があります。   結果の整合性の決定 CIRSとSanofi SA Global Regulatory Science and Policyを代表する著者らは、新規活性物質(NAS)について両機関からの審査結果が一致しているかどうかを判断するために、2014年から2016年までにFDAとEMAによって承認されたNASを評価し、審査結果の状況を2017年まで追跡調査しました。著者らは、2つの機関への「同時申請」を互いに3ヶ月以内に発生したものと定義し、Facilitated Regulatory Pathways(FRPs)とオーファン指定の使用、申請された適応症と承認された適応症との比較、承認までの時間を評価しました。   承認間の整合性 2014年から2016年にかけて115のNASがEMAもしくはFDA、またはその両方によって承認されました。これらのうち、82品目はFDAとEMAの両方によって承認されており(71%)、2つの機関の間で一般的なレベルの整合性があることを示しています。しかし、FDAがEMAよりも多くの化合物を承認している点に違いがあり、24のNASがFDAによって承認されたがEMAによって承認されず(21%)、9つのNASがEMAによって承認されたがFDAによって承認されなかった(8%)という結果になりました。承認されなかったのはEMAやFDAによる拒絶ではなく、スポンサーによる提出資料不足、提出や承認が試験期間後に発生したこと、または審査プロセスが試験の基準を満たしていなかったことに起因しています。   承認された適応症の違い EMAとFDAに同時に提出された46のNASについて、適応症情報を取得しました。これら46のNASのうち、33のNAS(72%)では同じ適応症がEMAとFDAに提出されていました。残りの13のNAS(28%)は、異なる適応症を追求するスポンサーによって提出されました。 同じ適応症が提出された33のNASでは、24のNASでEMAとFDAに同じ適応症が承認されました(73%)。興味深いことに、9つのNASでは、スポンサーが同じ適応症情報を提出したにもかかわらず、異なる適応症が承認されました。このポイントについては、例えば承認後のコミットメントやベネフィット・リスクプロファイルを検討すること等によって、さらに調査する必要があります。これにより、2つの機関がそれぞれのベネフィット・リスク分析において様々な要素に与える重要性の違いを明らかにすることができると考えられます。   Facilitated Regulatory Pathways 同時に提出された52品目については、FDAは審査を迅速化し、医薬品をオーファンに指定する傾向が強かったため、EMAの基準/定義の厳格化や指定プロセスの柔軟性の低さを示唆している可能性があります。両機関は52のNASのうち49のNASについて条件付き承認(EMAの条件付き承認またはFDAの迅速承認)に合意しました。   EMAによる承認タイムラインの延長 承認までの期間の中央値は、EMA(409日)よりもFDA(319日)の方が90日早い結果となりました。これにはいくつかの理由があります。第一に、FDAは様々な状況に対応できる幅広い迅速化プロセスを提供しています。さらに、EMAのプロセスでは、ヒト用医薬品委員会の意見書と欧州委員会の決定という2つの正式なステップが必要となります。しかし、EMAの迅速評価ガイドラインの最近の改訂とPriority Medicinesの開始により、これらの違いは緩和される可能性があります。     本研究の全文はこちらからお読みいただけます。 To what degree are review outcomes aligned for new active substances (NASs) between the […]

FDAが緊急治験用のCOVID-19回復期血漿申請プログラムを発表

JULIE ODLAND Medical & Regulatory Writer, Cortellis Clarivate   英語原文 米国におけるCOVID-19感染症の発生状況の急速な変化に対応するため、FDAは2020年3月24日、重篤なCOVID-19感染症または直ちに生命を脅かすCOVID-19感染症の米国内の患者の治療に、療養中のCOVID-19患者の血漿を医療従事者が使用することを認める緊急治験用新薬(IND)申請プログラムを発表しました。FDAは血漿中に検出されたSARS-CoV-2抗体が感染症に対して有効である可能性があることに注目し、緊急のINDリクエストに「タイムリーに対応する」ことを表明しています。(SARS-CoV-2はCOVID-19の原因となるウイルス)   FDAは緊急対応を2つの階層に分けています。   タイムセンシティブな緊急事態(回答までの時間が4時間未満の必要がある)については、プロバイダーはFDAの緊急事態対応室(1-866-300-4374)に連絡し、口頭での承認を求めることができます。 時間的な緊急性が高くない(回答までの時間が4~8時間以内で問題ない)リクエストについては、リクエストする医師は、Form 3926に記入し、CBER_eIND_Covid-19@FDA.HHS.gov まで電子メールで送信することで、FDAに連絡することができます。   このCOVID-19血漿に対する治験範囲拡大プログラムの資格を得るために、FDAは患者がいくつかの要求を満たすことを要求しています。   患者は、検査によってCOVID-19と確認されていること。 患者のCOVID-19感染は、重度(例:呼吸困難や呼吸促迫、低血中酸素飽和度、肺浸潤)または即時に生命を脅かす(例:呼吸不全、敗血症性ショック、多臓器不全/機能不全)ような状態であること。 患者がインフォームドコンセントを提供していること。   FDAのガイダンスは、他の治療法が承認されるまでの間、最も病状の悪い患者に生命線となる可能性を提供しています。   緊急時のIND申請に関する法的根拠はCFR連邦規則集 21章Part 312, Subpart Iに記載されている患者のExpanded Accessに関する規定に準拠しています。緊急時を含み、Expanded Accessに関する全ての項目に関するCFR(連邦規則集)21章Part 312.305(a)の規定および個々の患者のExpanded Accessに関するCFR 312.310の両規定における申請基準を満たした場合、FDAは患者のINDへのExpanded Accessを承認する可能性があります。   FDAの発表によると、FDAは国立衛生研究所(NIH)や疾病管理予防センター(CDC)などの政府パートナーと協力して、複数の治験責任者により運用されるCOVID-19回復期患者からの血清療法に関するマスタープロトコルの策定と血清の収集を継続的に実施しているとのことです。 回復期血漿による輸血に関連する潜在的なリスクを軽減するために、FDAは血漿の採取に関して、献血を受ける資格があり、COVID-19から回復した個人からのみに制限しています。同庁は2020年3月26日に「FAQ」の文書を公表し、献血者候補者や医師向けのリンクや指示を掲載しています。 回復期血漿は、医師のツールキットの中で最も効果的なCOVID-19治療法になる可能性は高くないですが、しばらくの間は最も病状の悪い患者への生命線になるかもしれません。     COVID-19 に関する最新情報や最新ニュースについては、引き続き弊社ブログをチェックしてください。Cortellis Regulatory Intelligence をご利用の方は、デスクトップまたは Cortellis Regulatory Intelligence のモバイルアプリで最新情報を受信できるようにアラートを設定してください。   Cortellis […]

パンデミックへの対応:医薬品の適応外使用、拡大アクセス、緊急時の使用許可

MEG EGAN-AUDERSET Medical & Regulatory Writer, Cortellis Clarivate   英語原文   COVID-19の世界的な大流行が続く中、臨床家や政治家は、SARS-CoV-2感染症の治療薬として、すでに承認されている既知の医薬品を使用する可能性に熱心に対応してきました。まだ COVID-19 に特化して FDA によって承認された治療法がないため、医薬品の適応外使用は考えるまでもないように思えるかもしれません。   しかし、医薬品の適応外使用にはリスクがないわけではありません。ある適応症に対して安全かつ有効であると承認された化合物の多くは、別の適応症に対しては効果も安全性もありません。治療法の潜在的な利点とリスクを秤量することは、FDAの承認プロセスの不可欠な部分であり、FDAは非常に真剣に取り組んでいます。世界的なウイルスの大流行に直面しても、FDAは、公衆衛生の保護というその主な責任に背くことがないように、その基準を下げることを望んでいません。     公衆衛生上の緊急事態の間に潜在的な治療法にアクセスする 新しい適応症のために承認された薬を再利用することは、確かに「治療法の選択肢がほとんどない、またはない病気や条件の治療のための効率的な医薬品開発の道筋」であるかもしれない、とFDAは述べています。同機関は2019年12月に、適応外使用の可能性を探るための2日間の公開会議を共催しました[FDA Workshop Bulletin: Addressing Obstacles to Repurposing Off-Patent Drugs, 05/06-December-2019]。   ワークショップにおいてFDAの講演者は、新薬申請(NDA)、生物製剤ライセンス申請(BLA)、承認されたNDAやBLAへの補足承認を追求するための典型的な規制パスウェイについて説明しました。適応外使用医薬品については、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)の第505条(b)(2)項に記載されている「intermediate pathway」が最も関連性が高いと考えられるとのことです。505(b)(2)の申請は、通常、1)以前に承認された医薬品の安全性と有効性についての事前の知見、2)公表された文献に基づいて行われます。   明らかに、これらは「典型的な」状況ではありません。しかし、FDAの迅速承認プログラムでさえ、すでにSARS-CoV-2に感染している人々を治療するために、製品(たとえ適応外使用されたものであっても)を迅速に市場に送り出すように設計されているわけではありません。しかし、COVID-19を治療する製品の承認を迅速化するのに役立つ可能性がある既存のFDAのプログラムがあります。   連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)の第505条(b)(2)項に記載されている「intermediate pathway」が、「医薬品適応外使用」の承認に最も関連する手段であると考えられています。   緊急使用承認(EUA)-FD&C法の第564条には、化学的、生物学的、放射線学的、および核(CBRN)の脅威に対する公衆衛生保護の強化を目的として、FDAによる医療対策(MCM)の確保と利用を促進するためのEUA権限が記載されています。第564条では、米国保健福祉省(HHS)長官が、CBRNの脅威によって引き起こされる重篤または生命を脅かす疾患/症状の診断法、治療法、予防法を緊急に使用することを正当化する「緊急事態または脅威」を宣言した場合、FDAは未承認の医薬品の使用、または承認医薬品の適応外の使用を許可することができます。   COVID-19の場合、 2020年1月31日、HHS長官は、”2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)の確定症例の結果として、公衆衛生上の緊急事態が米国に存在することを正式に決定しました。” しかし、FDAが指摘したように、この宣言によってFDAはEUAを発行することができませんでした。FDAのアクションのためには、長官はFD&C法第564条の下で別の決定と宣言をしなければなりませんでした。 2月4日、長官はCOVID-19に関する公衆衛生上の緊急事態が “国家安全保障または海外に住む米国市民の健康と安全保障に影響を与える重大な可能性がある“と判断しました。その後、その決定に基づきCOVID-19公衆衛生上の緊急事態は、SARS-CoV-2の検出および/または診断のための体外診断法の緊急使用、および “個人用呼吸器保護装置”の緊急使用を許可することを正当化すると宣言しました。 3月10日、HHS長官は、Public Readiness and Emergency Preparedness Act (PREP法)に基づく宣言の中で、対象となる対策を「製造、配布、管理、処方、または使用」する者に「liability […]

治験は続けなければならない:COVID-19パンデミック時における臨床試験の実施

JAIME POLYCHRONES Medical Writer, Cortellis Regulatory Intelligence Clarivate   英語原文   本記事中に引用のあるRegulatory Documentは、Cortellis Regulatory Intelligenceに収録の該当文書へリンクしています。   COVID-19の影響で世界中が一時停止しているかのような状況にあっても、米国での臨床試験は、規制を遵守し、患者の安全性を確保しながら、条件やプロトコルを調整して継続することができます。この記事では、最近のFDAのガイダンスについてご説明します。   COVID-19が世界中で大流行する中、医薬品、医療機器、生物学的製剤の臨床試験は、他の疾患や病状に対しても継続して実施する必要があります。これをどのように遂行すべきかについての潜在的な懸念に対処するために、2020年3月18日に、FDAは業界、治験責任医師、および機関審査委員会(IRB)のためのガイダンス、「FDA Guidance on Conduct of Clinical Trials of Medical Products during the COVID-19 Pandemic」を発行しました。 FDAは、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)第701条(h)(1)(C)(i)および21 CFR 10.115(g)(2)に基づき、このガイダンスを事前のパブリックコメントなしで公開していますが、現在はパブリックコメントを受け付けています(Docket No. FDA 2020-D-1106)。   産業界が直面している問題のいくつかには、検疫、施設閉鎖、渡航制限、治験薬のサプライチェーンの寸断などがあります。さらに、治験施設の職員や臨床試験参加者がCOVID-19の原因となるウイルスであるSARS-CoV-2に感染した場合、試験が延期されたり、最悪の場合は中止されたりする可能性があります。これらを考慮して、FDAはプロトコルの変更や逸脱に対処する方法についての情報を提供しました。具体的には、以下の点に重点を置いたガイダンスとなっています。   試験参加者の安全性の確保(45 CFR 46を参照)。 good clinical practice(GCP)遵守の維持 試験の完全性に対するリスクを最小限に抑える(FDAの産業界向けガイダンス Data Integrity and Compliance with Drug CGMP – […]